2006年12月21日(木)「しんぶん赤旗」
亀田興 が初防衛
判定でランダエタ下す
WBA Lフライ級
試合後のたたえ合い忘れずに
今度は文句なしの勝利だった。ジャッジ3人の判定も全員が亀田。米国の審判は10ポイント以上の差をつけた。判定に疑問の声があがった前回の経緯をふまえ、WBAは今回、完全中立国からベテランの審判団を構成。その中での圧勝だった。
8月のタイトル挑戦時とは、明らかにボクシングはちがっていた。あれだけ苦しめられたランダエタを、何度もロープ際に追いつめ、連打を放った。無理な攻撃はしかけない。足を使って、打てば離れ、離れては打つ。序盤でボディーブローをもらっていたが、その後は落ち着いて左を当て、スピードで上回った。
世界戦を何度も裁いてきた森田健さんも「だれが見ても納得できる勝利。6回以降の連打がきいた。終盤もスタミナ十分で、体に切れがあった。減量も、うまくいったと思う。ずいぶん、ボクサーとして進歩した」と評価した。
実力でタイトルを防衛した亀田。その20歳のチャンピオンにのぞみたいことがある。それは、試合中にも再三見せた相手を挑発するような態度、レフェリーにくってかかる姿勢を改めること、そして、つねに相手には敬意をはらうことだ。
試合後、ランダエタと抱き合い、互いに「よくがんばった」「いい試合をした」とたたえた。その気持ちをいつも忘れないでほしい。
幼いころから世界をめざし、鍛錬をつんできた彼の姿に共感をおぼえる若者も少なくない。周りも「けんか祭り」などとあおらずに、青少年たちにボクシングの、スポーツのすばらしさを伝えることに心を配ってもらいたい。 (代田幸弘)