2006年12月21日(木)「しんぶん赤旗」
イラク戦争「最悪の時」
アナン国連総長 お別れ会見で米政権非難
【ワシントン=鎌塚由美】十二月末で退任するアナン国連事務総長は十九日、お別れ記者会見で、イラク戦争を阻止できなかったのが「最悪の時」だったと語り、「有志連合」で戦争に突き進んだブッシュ政権を重ねて批判しました。
十年間の任期中の三つの「最悪の時」を問われたアナン氏は、「もちろんイラク戦争だ」と指摘。「国家には自衛権があるが、国際社会への広義の脅威に対処するときに、行動を許可する正当性を備えているのは安全保障理事会だけだ」と強調。安保理を無視して攻撃に踏み切ったブッシュ政権を改めて非難しました。
イラク戦争の教訓をどう考えるかについては、開戦に加わった国、加わらなかった国、戦争を支持した国、承認を与えなかった安保理の「みなが教訓を持っている」と語りました。現在は、立場の違いをこえ「イラクを安定させる道を見つけ出すことが重要である」と強調しました。
アナン氏はそのほかの「最悪の時」として、イラク・バグダッドの国連事務所の爆破で同僚を失ったこと、対イラク人道支援事業「石油と食料計画」を巡るスキャンダルをあげました。
成果については、「人権、貧困・格差の解消、エイズ」への取り組みをあげました。
アナン氏は国連のあり方にふれ、「国連を強化するのではなく、破壊または弱体化しようとする人々に対しては、国連がなければ、国境を越える問題にどう対処するのか、貧者、弱者、声なき人々のために誰が声を上げ立ち上がるのか、と言いたい」と述べました。