2006年12月20日(水)「しんぶん赤旗」

主張

臨時国会閉幕

安倍政治の矛盾は深い


 安倍政権の発足後初めての国会となった、第百六十五臨時国会が閉幕しました。

 安倍首相がこの国会の最重要課題とした教育基本法改悪案は、先週末、自民・公明の与党が成立を強行しました。海外活動を自衛隊の「本来任務」とし防衛庁を「省」に格上げするなどの法案も、自・公と民主の賛成で成立しています。八十五日間にわたった臨時国会は、安倍政権が進める政治の危険とともに、その方向が国民や世界が求めるものではないことを浮き彫りにしました。

国民と世界から孤立

 「しんぶん赤旗」は、国会冒頭の首相の所信表明演説を取り上げた主張(九月三十日付)で、教育基本法の改悪や集団的自衛権の行使、改憲など安倍政権が目指す危険な政治を批判するとともに、「安倍首相がやろうとしていることが、国民と世界から孤立する道であることを浮き彫りにし(た)」と指摘しました。国会閉幕にあたっての現実は、この指摘を裏書きしています。

 安倍政府と与党の自・公は、教育基本法改悪案を衆院では与党だけの採決で、参院の委員会では強行採決で成立させました。未来の担い手にかかわる教育の根本法を、何のために変えるのかの説明責任も果たさず、憲法に違反するとの批判も踏みにじって、議会制民主主義に反する乱暴なやり方で成立させたこと自体、安倍政権の危険を示すものです。

 安倍政権がこの国会に持ち出して成立させた法律には、教育基本法改悪のほか、アメリカとともに「海外で戦争する」ための自衛隊法などの改悪や、国民の主権を踏みにじり企業献金を外資系企業にまで拡大する法律などがあります。いずれも、アメリカいいなり・大企業本位の異常な政治をますますひどくする内容です。憲法を変えるための改憲手続き法案は継続審議ですが、自・公と民主で「修正」内容で合意しました。

 安倍政権が目指すこうした政治が国民の求めるものでないことは、教育基本法改悪をはじめいずれの法案にも国民の批判が巻き起こり、国会での審議もそこそこに、与党が採決を強行したことでも明らかです。国会が開かれていたこの三カ月足らずの間に、どの世論調査でも内閣支持率は急落しています。安倍政治と国民との矛盾の深まりは明白です。

 安倍政治には世界からも批判の声が上がっています。教育基本法の改悪と海外派兵を「本来任務」にする法律の成立に対し、米紙ニューヨーク・タイムズは「戦後の平和主義から遠のく措置を講じる」と報じました。シンガポール紙は、自衛隊が「正真正銘の軍隊」になりつつあると深い警戒感を示しています。安倍政権が進める政治が、世界が日本に求めるものではないことは、これらの指摘にも明白です。

「二大政党」の実態

 日本共産党はこの国会で、安倍政権が進める教育基本法改悪などを阻止するために広範な国民と手をたずさえ、国会の中では一致する野党とも協力して力をつくしました。国会の内外での批判の高まりに自・公が「数の横暴」を振りかざすとともに、野党第一党の民主党が教基法改悪では成立阻止の態度を貫かず、自衛隊法の改悪などでは自・公とともに賛成の側に回ったのは重大です。民意にそむく悪政で協力しあう「二大政党」の実態を示したものです。

 安倍政権との対決は、最初の予算編成を迎え、いよいよ重大化します。国民の利益を守るために、日本共産党は、悪政と対決し力をつくします。


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