2006年12月19日(火)「しんぶん赤旗」
枯れ葉剤被害救済へ
米政府、ベトナム援助
【ハノイ=鈴木勝比古】米政府がベトナムの枯れ葉剤被害克服への援助を早ければ来年から開始します。ベトナムを訪問中の米上院関係者が十七日にハノイで明らかにしました。米議会が予算を承認すれば、米政府は初めてベトナムでの枯れ葉剤被害克服への援助を実施することになります。
米政府はこれまで、米軍がベトナム戦争中に散布した枯れ葉剤がベトナムの住民と環境に重大な影響を与えたことを公式には認めていませんでした。
パトリック・リーヒー米上院予算小委員会委員長の特使、ティム・リーサー氏がハノイの米大使館で記者会見し、米議会がベトナムの枯れ葉剤被害克服活動の予算を組むと表明。「われわれが戦争中に引き起こしたことをベトナムの人々が克服するために、人道その他の面で援助する責任がある。ダイオキシンやその他の化学物質の使用はそれらに含まれる。今年中に実施したい」と語りました。
援助活動は、枯れ葉剤による汚染が深刻な地域の汚染除去や被害者への援助として実施されるとみられます。
ベトナム戦争中の一九六一年から七一年にかけ、米軍は猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤七千六百万リットルをベトナムの広範な地域に散布しました。ダイオキシンは遺伝子や染色体の異常の誘因となり、発がん性があるとされます。
ベトナム人三百万人以上が影響を受けたとされ、米軍や韓国軍、ニュージーランド軍の参戦兵士にも影響しました。ニュージーランド政府は七日、同国の参戦兵士の被害補償計画を明らかにしました。