2006年12月18日(月)「しんぶん赤旗」

主張

国連加盟50周年

戦後出発の原点に立ち返って


 一九五六年十二月十八日、五十年前の今日、日本は国際連合に加盟しました。

 国連は「戦争の惨害から将来の世代を救」い、国際平和と安全を「平和的手段によって…実現する」ことを目的に四五年六月創設されました。二十一世紀に入り国連がかかげた平和の国際秩序づくりのとりくみは新たな力強い流れになっています。

 加盟から五十年を経ていま政府に問われているのは、加盟の原点に立ち返り、戦争を放棄した憲法九条を生かして国連を中心にした平和秩序づくりの先頭にたつことです。

国連中心の外交

 加盟にさいしての国連総会での演説で当時の重光葵外相は、憲法の前文と九条の平和原則に言及しながら、「国際連合の崇高な目的に対し誠実に奉仕する決意」を表明しました。わずか十年前まで侵略戦争を推し進め世界に重大な被害を与えた日本への国際社会の警戒心をやわらげるねらいがあったとしても、それ自体、重要な国際約束です。

 日本の国連加盟は憲法の平和原則を示すことで認められました。

 政府は、国連加盟申請書に「その有するすべての手段をもって」国連憲章の義務を履行すると明記しました。加盟作業の中心であった西村外務省条約局長(当時)は憲法調査会(六〇年八月)で、「当時は憲法九条を文字通り外交の面で守ることにあらゆる注意を払った」とのべ、憲法第九条にもとづく手段に限るという意味だったと説明しました。

 吉田茂首相は憲法制定議会で、九条は、「世界を率いて」「その魁(さきがけ)になって」世界平和を実現させるという政府の「決意」だとくりかえしています。九条を示して国連加盟した以上、国連の「戦争のない世界」づくりを最優先にするのは当然です。

 しかし、その後の日本の外交は、日米同盟を絶対視し、国連中心は形だけというのが実態です。国連憲章に反したアメリカのイラク侵略戦争を軍事支援し、海外派兵を本格化するなどの軍事優先政策は、加盟当時の約束表明をほごにするものです。

 小泉前首相は、国連が「有効に機能するかという試練を迎えている」(二〇〇三年一月二十七日衆院予算委員会)などといって、アメリカの一国覇権主義を支持し、国連無能力論をふりまいてきました。しかしこれも見当違いの議論です。

 なるほど国連は、「米ソ対決」の影響でベトナム侵略やソ連のアフガニスタン侵略などにものが言えなかった時代がありました。しかし、「米ソ対決」のしばりがとけ、この状態はすっかり変わってきています。

 アメリカがイラクを攻撃するとき国連のお墨付きを必要としました。国連はイラクにたいする戦争の是非を問う大議論の末、開戦のお墨付きを与えませんでした。国連はたいへんな役割を果たしたのです。これは国連が本来の力をとりもどし、目標とした「戦争のない世界」づくりに向けて大きな発展を遂げていることを意味しています。

憲法9条を生かして

 日本にとっていま重要なのは、アメリカ一国覇権主義への追随をやめ、国連を中心に、世界の大勢となっている戦争のない世界平和の流れを加速する役割を果たすことです。軍事的対応ではなく、憲法九条を生かし、飢餓・貧困救済をはじめとした平和的・外交的役割を果たすことこそ最大の貢献です。

 政府は国連加盟五十年を機に、国連加盟の原点に立ち、九条を生かした平和外交にこそ徹すべきです。


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