2006年12月17日(日)「しんぶん赤旗」

英戦闘機売却 贈賄疑惑

捜査打ち切りに批判

サウジの意向影響か


 【ロンドン=岡崎衆史】サウジアラビアへの戦闘機売却契約をめぐる英軍事企業BAEのわいろ疑惑を捜査していた英司法当局が、国益を理由にその打ち切りを発表したことに、英国内で批判が広がっています。

 英政府は一九八五年、サウジアラビアと武器売却の契約を締結。その総額はこれまでに四百三十億ポンド(約九兆八千九百億円)に上ります。現在その第三段階として、多目的戦闘機ユーロファイター七十二機(六十億ポンド=約一兆三千八百億円)の売却で合意し、実施に向けて話が進められていました。

 しかし売却をめぐり、BAEがサウジ王室にわいろを贈っていた疑惑が浮上し、重大不正捜査局(SFO)が二〇〇四年から捜査に乗り出していました。わいろは十億ポンド(約二千三百億円)を超えるとされます。

 SFOを管轄するゴールドスミス法務長官が十四日、上院で「国家安全保障と中東外交政策の目標に関連し、英国民の利益に非常に深刻な影響を与える」と述べ、捜査の打ち切りを発表しました。打ち切りはブレア首相や閣僚と相談した上で決定。突然の発表の背景について英メディアは、サウジ側が、捜査を継続する場合は契約を破棄し、フランスから武器を購入する意向を伝えたためだと報じました。

 捜査打ち切りという事態に、議会第三党・自由民主党のキャンベル党首は法の支配を深く傷つけると反発。フィナンシャル・タイムズ紙十五日付社説は、(1)政府が司法に介入した(2)汚職反対や良い統治を求める英国の大義を失墜させた(3)サウジ王制への武器支援は中東の安定につながらない―と指摘。「SFOの決定は絶望をもたらす」と厳しく非難しました。

 ガーディアン紙十五日付社説は、労働党への秘密融資をめぐって首相が警察の聴取を受けたことにも触れ、清潔な政治を実現するとの首相の公約は「恐ろしく空虚なものであることが十分に明らかになった」と指摘しました。


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