2006年12月17日(日)「しんぶん赤旗」
証券優遇減税
富裕層に869億円
わずか7525人に恩恵集中
佐々木議員調査
わずか3・8%の富裕層に64%の減税―。上場株式の譲渡益にかかる所得税を軽減している証券優遇税制による多額の減税の大半は、一部の富裕者にしか恩恵をもたらしていないことが、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の調査によって分かりました。
自民、公明両党は二〇〇七年度与党税制「改正」大綱に、〇七年度中に期限を迎える証券優遇税制の一年延長を盛り込みました。同制度の継続で、いっそう富裕者を優遇する方針です。
佐々木議員が財務省から入手した資料に基づいて試算したところ、株式等譲渡益にかかる税率を本則20%から10%に軽減している証券優遇税制による減税総額は千三百五十七億円(申告所得分のみ)。このうち申告所得の合計が五千万円を超える階層の証券優遇税制による減税規模は、八百六十九億円となり、全体の約64%に及びました。同階層は、一人当たり約千百五十五万円もの減税を受けていることになります。
〇四年に株式等譲渡所得を申告した人は、全体で十九万六千九百八十六人。そのうち申告所得の合計が五千万円を超える階層は、七千五百二十五人と全体の約3・8%にすぎませんでした。また、税率26%時と比較した減税額は、総額で約二千百七十一億円(同)。申告所得の合計が五千万円を超える階層の一人当たりの減税額は、約千八百四十九万円となりました。
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応分の負担を求めるべきだ
証券優遇税制が一部の富裕層に巨額の恩恵を与えるものであることが裏付けられました。
自民・公明両党は税制「改正」大綱の中で、この証券優遇税制の延長を盛り込みましたが、たった七千五百二十五人に八百六十九億円もの減税をする大金持ち優遇はただちに撤廃すべきです。
軽減税率を撤廃しても、上場株式の売却益や配当にかかる税率は20%にすぎません。相次いで引き下げられてきた所得税の最高税率(37%)と比較してもはるかに低い水準です。アメリカやイギリスなどの多くの国が採用する総合課税を導入すべきです。
政府・与党は、庶民には定率減税全廃などの増税を強い、一方で、大金持ちの優遇税制は継続するという「逆立ち税制」をさらに進めようとしています。
相次ぐ負担増にあえぐ庶民へのいっそうの増税はただちにやめ、マネーゲームなどで大もうけをあげる大金持ちにこそ応分の負担を求めるべきです。
証券優遇税制 上場株式等の売却益にかかる税率は、二〇〇二年までは、本則26%でした。政府は、これを〇三年から本則20%(国15%、地方5%)に引き下げ、さらに〇二年から〇三年にかけて低迷する株価対策として、いっそうの証券優遇税制を実施しました。具体的には、〇三年から〇七年まで、上場株式等の売却益にかかる税率が10%(国7%、地方3%)に半減されています。また、上場株式等の配当金についても、本来、20%(国15%、地方5%)の税率が、〇三年度から〇七年度まで10%(国7%、地方3%)に優遇されています。