2006年12月16日(土)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪強行
権力の横暴に抗議の列
培った力で運動広げる
改悪教育基本法が成立した十五日、国会前は反対する人たちでびっしり。採決直後にはぼうぜんと立ちすくんだり、涙を流した人たちも、再びこぶしを握り抗議の声をあげました。「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の事務局長を務める八尋麻子さん(25)は大きな人の波を指していいました。「見てください。以前はほとんどの人がこの問題を知らない状況だったのに、今日はこんなにたくさんの人が集まって反対の声を上げているんですよ」。確信に満ちた声でした。(高間 史人)
全国連絡会は、大内裕和さん(松山大助教授)、小森陽一さん(東京大教授)、高橋哲哉さん(同)、三宅晶子さん(千葉大教授)が呼びかけ人となって二〇〇四年に結成され、幅広い人たちが立場を超えて参加。全国規模の大集会を何度も成功させるとともに、地域からの運動を呼びかけ、反対世論を広げました。
神奈川県鎌倉市の女性(49)は〇三年の夏に始まった前段階の活動から参加してきました。「権力を持つと何でもできてしまうのかと思う。でも、たくさんの人が行動に立ち上がっています。運動してきたことは無駄ではありません」といいます。侵略戦争を美化する歴史教科書の登場に日本の社会や教育への危機感を持ち、運動に参加するようになりました。「まだ自分には関係ないと思っている人たちにも問題を知ってもらって、運動を広げていきたい」
八尋さんもかつては「労働組合なんて存在自体を知らない」という若者でした。まだ学生だった〇三年三月二十日、アメリカがイラク戦争を始めたのと同じ日に、日本では中央教育審議会が「愛国心」の押し付けを盛り込んだ教育基本法「改正」の答申を出しました。「戦争は遠い国のことじゃない、日本も危ない」と感じました。
全国連絡会の運動に飛び込み、推されて事務局長になり、全国を飛びまわることに。さまざまな立場の人が参加する共同の運動をどう広げるか、事務局の人たちとともに苦労し、悩みながら活動してきました。以前は少なかった若い世代の人たちが運動に参加するようになったことが確信になっています。いろんな人と出会い、自分の成長も感じています。
成立を聞いた瞬間「悔しいけど、もっともっと頑張らなければと思いました」。改悪されても子どもと教育を守り、憲法を守るたたかいは続きます。「これまで培った力を生かしていかなきゃと思っています。苦しい時代を生きていることに価値があると思う。いまは反対運動が通じなくても、そういうことの繰り返しから本当の民主主義が生まれると思うんです」