2006年12月16日(土)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪 自公が強行
参院本会議
安倍政権が臨時国会の最重要課題と位置づけた改悪教育基本法が、十五日の参院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決され、成立しました。徹底審議を求める圧倒的な国民世論を踏みにじっての暴挙です。国会周辺では、朝から座り込みや抗議行動が展開され、「教育基本法を百八十度転換させ、お国のためと教える改悪法は許せない」(横浜市・主婦)、「改悪の具体化を許さず、憲法を守るたたかいを広げたい」(川崎市・元教員)など怒りと新たなたたかいへの決意の声に包まれました。全国でも抗議行動や緊急街頭宣伝などがおこなわれました。
教育基本法改悪は、一九四七年の制定以来初めてです。審議を通じて改悪法が、内心の自由を踏みにじって「愛国心」などを強制することや、国家権力による教育内容への無制限の介入に道を開き、教育の自由と自主性を侵害することなど、憲法に背反する重大問題が明らかになりました。
この日、改悪法を通すまいと国会前には、教組、市民団体の人などが朝早くから詰めかけ、改悪法成立の報が伝わると「自公の横暴は許さない」「たたかいはこれから」の声があがりました。
改悪教育基本法の成立を阻止するため、日本共産党、民主党、社民党、国民新党の野党四党は、安倍内閣不信任決議案と、「核武装」議論を容認する発言を繰り返した麻生太郎外相の不信任決議案を衆院に共同提出しました。参院では、野党四党が伊吹文明文部科学相の問責決議案を共同提出。しかし、安倍晋三首相の問責決議案については民主党が難色を示し、共産、社民の両党が共同提出しました。
与党側は、安倍内閣不信任決議案を、衆院本会議で反対多数で否決しました。日本共産党の石井郁子議員は賛成討論で、安倍内閣は、子どもたちの未来を危うくし、「海外で戦争する国」づくりを推しすすめ、国民にはさらなる痛みと負担を押しつけるものであり、即刻退陣すべきだと迫りました。麻生外相不信任決議案は本会議では議題となりませんでした。
参院本会議で、伊吹文科相問責決議案を自民、公明両党の反対多数で否決しました。安倍首相問責決議案は議題となりませんでした。
具体化、押し付け許さない
憲法に依拠 新たなたたかいを
志位委員長訴え
日本共産党の志位和夫委員長は十五日、教育基本法改悪の強行をうけ、国会前でおこなわれた抗議集会で国会報告をしました。
志位氏は、国会周辺での終日の抗議行動を終えて集まった八百五十人の参加者を前に、「国会の歴史、教育の歴史に重大な汚点を残した歴史的な暴挙」と、こん身の力を込めて糾弾。冬の夜空に「そうだ」の声がこだましました。
歴史的暴挙の四つの理由を詳しく明らかにするとともに、今後の新たなたたかいについて、「改悪法の具体化に反対し、教育現場への押し付けを許さないたたかいにのぞもうではありませんか」と訴え、その立脚点に言及。「依拠すべきは日本国憲法そのものにあります。その意味でも憲法を守るたたかいがいよいよ大切になります」と強調しました。
最後に、「全国津々浦々で教育基本法改悪反対のたたかいがこれだけ広がったことは今後に生きる大きな財産。ここに確信を持って次のたたかいに挑もうではありませんか」と呼びかけると、参加者は大きな拍手と「そうだ」「頑張るぞ」の声で応えました。