2006年12月15日(金)「しんぶん赤旗」
宇宙兵器開発・配備 “排除しない”
米国務次官 武力行使も
ジョゼフ米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は十三日、ワシントン市内で、ブッシュ政権が今年十月に一部公表した新しい宇宙政策について、政府高官として初めて講演しました。人工衛星など米国の「宇宙資産」を守るために武力行使も辞さないとの強硬姿勢を示し、宇宙兵器の開発・配備も「排除しない」と強調しました。
同次官は、国家宇宙政策は宇宙兵器の開発・配備を指示していないとしながらも、米国の宇宙資産を守るためあらゆる能力を確保する必要があると述べました。
また、人工衛星などが米国の安全保障上、極めて重要な役割を果たしていると指摘。テロ組織や敵対国が米国の人工衛星などを攻撃目標とする可能性があり、「これらの脅威を真剣にとらえなければならない」と語りました。
同次官は、一九六七年発効の宇宙条約は守るが、宇宙軍拡防止の新たな国際協定は不要との立場を改めて示しました。宇宙条約は、大量破壊兵器の配備など宇宙の軍事利用を禁止しています。中国やロシアなどは、攻撃兵器の宇宙配備を禁止する新条約を求めています。
新宇宙政策は、一九九六年に初めて策定された政策を改定したもので、全文は公開されていません。「米国の宇宙利用を禁止、制限する新たな法的枠組みに反対する」と明記し、「米国にとって宇宙での行動の自由は空軍力、海軍力と同様に重要だ」と指摘。「必要な場合は、米国の国益に反する敵対国の宇宙関連能力活用を阻止する」としています。
これは中国の衛星攻撃兵器(ASAT)開発などを念頭においたものとみられています。(坂口明)