2006年12月14日(木)「しんぶん赤旗」
「福祉の心」をもつ日本共産党の議席を大きく
新潟市での演説会 志位委員長の訴えから(下)
「福祉と暮らし」を守る 本業はそっちのけの 「オール与党」
もう一つの問題は「福祉切り捨て」病です。肝心の福祉と暮らしという地方政治で一番やらなければならない仕事に力が入らない。
たとえば国保料が高すぎる。その上に無慈悲に保険証を取り上げることが大問題になっていますね。十二月三日に放映されたNHKスペシャル「もう医者にかかれない 国民健康保険料値上げ払えない 4700万人の命綱が危機」。こういう番組をご覧になりましたでしょうか。私も見てびっくりしました。
生活情報番組「ご近所の底力」「生活ほっとモーニング」などに寄せられる声で、一番多いのは「保険料が高くて払えない」「保険証を取り上げられたため病院に行けない」という切実な声で、六百通を超えたことから特集したんですね。
福岡市で左官業を営む六十代の男性が出てきて、脱腸の痛みをこらえながら仕事を続けている。保険証もなくお金もなく医者にいけないため、下腹をサポーターでぐるぐる巻きにして痛みをしのいで仕事をしているのです。相談していたのは、なんと民主商工会の人たちのようです。やっぱり民商は頑張っているなあと思いました。
アナウンサーは厚生労働省に疑問をぶつけました。「もともと保険料が払えない人に、十割を払えというのは、乱暴なシステム」「格差が広がる今こそ、経済的に弱い人への必要な医療を保障するという国保の原点を忘れないでほしい」。いいこというじゃありませんか。
私もその通りだと思います。だって保険料を払っていない人は、好きで払わないんじゃないんです。お金がないから払えないんです。それなのに保険証を取り上げる。保険証がなければ窓口で十割払わなければならない。そうしなければ病院にいけないところに突き落とす。こんな政治は間違っていると思います。国保料が高すぎること、そして保険証取り上げは本当にやめさせなければいけないと考えています。(拍手)
国保証取り上げけしかける「オール与党」
この点で新潟を見ると、はっきりいって「オール与党」と日本共産党の激しいせめぎ合いという状況です。県も市も保険証の無慈悲な取り上げをしています。資格証明書の発行は、県でも市でもこの四年間で一・六倍になりました。県で三千二百五十五世帯、市で千二百五十五世帯。なぜ取り上げをやめないのでしょうか。
もちろん当局の姿勢が問題ですが、「オール与党」がけしかけているからです。〇四年十二月の県議会での質問の議事録を見ますと、自民県議“一番収納率が悪いのは新潟市だ。上越市、長岡市という大きな所は悪い。もっときつく指導せよ”。県は“毎年指導している。さらに強めたい”と答えている。自民県議は“未納の多い市町村へは福祉の予算を減らせ”。そこまでいって保険証の取り上げをけしかけているのが「オール与党」なんです。
それに対して日本共産党の五十嵐県議は具体的なデータを示して「資格証明書を発行したら国保の滞納がなくなるか。そうはならない。収納率は向上しない。国保証の取り上げは、必要な受診を抑制するだけだ」。こういって追及しました。当局は一言の反論もできませんでした。
保険証取り上げの問題にしても、「オール与党」が福祉を削ろうとしている。それに対して日本共産党は、真正面から論陣をはっている。この冷酷な政治に立ち向かっている。どちらを伸ばしたら県民のためになるかあまりにも明りょうだと思います。(拍手)
国保料値下げ直接請求を否決した「オール与党」
高すぎる国保料引き下げの問題でも、「オール与党」と日本共産党が激しく対立しています。〇五年十二月、新潟市は突然、平均17%もの国保料値上げを発表しました。「新潟市の国保をよくする会」は、値上げ中止を求める署名に取り組み、五万四千人集めました。ゼロだった一般会計からの繰り入れを復活させ、十五年ぶりに十億円規模での繰り入れをして、値上げ幅を9・4%まで圧縮させました。市民・県民のたたかいの一つの成果だと思います。(拍手)
さらに、「よくする会」は、9・4%分も元に戻せなどと要求する直接請求運動を始め、九万七千(有権者の15%)の署名で本請求をおこないました。しかし、日本共産党だけの賛成、「オール与党」がそろって反対し否決されました。ですから県議選でも市議選でも共産党を勝たせることが、高すぎる国保料を引き下げる一番たしかな力になることも訴えたいと思います。(拍手)
乳幼児医療費助成制度――全国でももっとも遅れた県の制度
乳幼児医療費助成制度を調べてみますと、新潟県はこの五年間拡充されていないんです。ほかの県ではどんどん拡充されていますから、全国で一番遅れた県になってしまっています。一番ケチケチした制度になってしまっているのです。
所得制限、自己負担金、通院の対象年齢が三歳未満という県は、新潟と奈良と大阪の三つだけです。しかも奈良と大阪は入院は就学前まで助成制度があり、新潟は四歳未満までですから、新潟は文字通り、乳幼児医療費助成制度が全国で一番遅れてしまっています。先ほど民生費が四十七位といいましたが、こういうところに現れるんです。新潟市、長岡市では、お母さんやお医者さんの運動で、就学前まで拡大しているが、県の制度が拡充すれば市はもっと上乗せできるんです。その点でもこの問題は、切実です。
この問題をとりあげた質問は、県議会でどうなっているか、県議会のホームページを検索してみました。自民党は三十九人も県議がいますが、四回しかやっていません。社民党は六人いて四年間で二回。民主系のみらいの会は六人いてゼロ。公明党は二人いてゼロ。共産党は五十嵐さんたった一人で九回やっている(拍手)。しかも、その九回がどれも事実と道理に基づいた、堂々としたものでした。
ですから、新潟県、新潟市にしてもお金がないんじゃないんですね。心がないんですよ。「オール与党」には「福祉の心」がないんです(拍手)。共産党はその心を持っています。「福祉の心」を持っている共産党を一人でも多く地方議会に出してもらいたい。それがみなさんの暮らしを守る一番たしかな力になることを、心から訴えたい。(拍手)
共産党県議――中越大震災でも海外視察問題でもかけがえのない役割
五十嵐さんの一議席はかけがえのないものです。あの中越の大震災のさいに、私も一緒に被災地にうかがいましたが、がけ崩れの防止工事ができる制度が対象家屋が一戸でもできるようにした。これも、五十嵐さんが頑張り実現した。県の補助でがけ崩れ防止工事ができる制度を実現しました。
もう一つおもしろい話を紹介します。新潟県議会では、当選二回以上の県議が一回公費で海外視察にいけるという「オール与党」の申し合わせがあるんです。中越大震災で被災者が苦しんでいる最中に、全国都道府県議会議長会が企画した海外視察になんと新潟県議の二十九人が参加を申し込んだ。びっくりしたのが事務局です。「いくら何でも多すぎる」といわれて、少し減らして、二十一人が欧州コース、南米コースの二手に分かれて参加することになりました。予算は一人百二万円。すごいですね。海外旅行の冊子を調べてみたら、“南米十五日間満喫コース”で、五十万―六十万円です。ピラニア釣りをしたり、イグアスの滝を見たり、十五日間満喫して五十万―六十万円で行けるんですね。百二万円というと、豪華旅行ということになりますね。
その豪華旅行に待ったをかけたのが五十嵐さんです。「県民が苦しんでいるときに豪華海外旅行とはなんだ」と。県民のみなさんの批判も広がり、結局とりやめになりました。
とりやめになってよかった。というのは、私はここにくる前に徳島に行きました。徳島ではこのツアーにたくさんの県議が参加して大問題になりました。南米ツアーにいった人たちが、向こうでたいへん素行の悪いことをやったんです。「サンパウロ新聞」で「県民が泣くお粗末な県議様 公費のムダ遣いの見本」。午後二時から五時まで三時間、日系の人たちと県議団との会談が予定されていたんです。ところが一時間遅刻してきたんです。しかも、一時間早くやめてくれといったんです。残った一時間も持たず、靴を脱いだり、席を立ったり、談笑したり、眠りこけている議員までいたと、向こうの新聞に書かれて、徳島では大問題になりました。新潟も行っていたら大変なことになっていた。五十嵐さんのおかげで、新潟県議会の名誉をかろうじて守られたということを、紹介しておきたいと思います。(拍手)
かけがえのない議席です。定数二になっても絶対に守り抜いて、さらに四人の候補者のみなさんの全員当選を勝ち取らせてください。みなさんのご支持をよろしくお願いします。(拍手)(おわり)