2006年12月14日(木)「しんぶん赤旗」
イラク新政策先送り
米政府、調整難航
部隊撤収に異論
【ワシントン=鎌塚由美】ホワイトハウスのスノー報道官は十二日の記者会見で、ブッシュ大統領によるイラク政策変更の発表は「新年までない」と述べました。同大統領は当初、クリスマス前のテレビ演説でイラク新政策を発表する予定でしたが、この方針を急きょ転換したもの。政府内での政策調整に難航しているもようです。
超党派のイラク研究グループ(ISG)が六日に政策提言を発表したあと、ブッシュ大統領は関係各方面と連日、協議を続けています。十二日にはイラク駐留多国籍軍のケーシー司令官らとテレビ会談し、訪米中のイラクのハシミ副大統領とも会談しました。十三日には国防総省幹部らとの協議が予定されています。
ISGは二〇〇八年三月までに戦闘部隊の撤収が可能だと提言していますが、これへの異論が出ているもようです。ISGがイラク問題打開のためにイランやシリアと交渉すべきだと提起していることにも、反対論が表明されています。
スノー報道官は「試金石はISGではなくイラク情勢だ」と述べ、ISGに拘束されない立場を改めて表明しました。
人事面でも不確定要素があります。ラムズフェルド国防長官とともにイラク作戦を展開してきたペース統合参謀本部議長を更迭しようとする動きがあると報じられています。十八日には、ゲーツ次期国防長官がラムズフェルド氏と正式交代する予定で、ゲーツ氏は早期のイラク訪問を希望しているといわれます。
民主党のリード上院院内総務は同日、「イラク問題で待機や遅延は誰の利益にもならない」との声明を発表しました。