2006年12月14日(木)「しんぶん赤旗」

審議つくせが世論 阻止へ最後まで全力を

教育基本法改悪法案強行許すな緊急集会

市田書記局長あいさつ


 十三日夜、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた教育基本法改悪法案強行を許すな緊急集会での日本共産党の市田忠義書記局長の連帯あいさつ(大要)は次の通りです。


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(写真)連帯あいさつをす る市田書記局長

 教育基本法をめぐる国会の情勢は、重大局面にあります。政府、自民、公明の与党は十四日にも、特別委員会での締めくくり質疑と採決を強行しようとしています。この暴挙を絶対に許すわけにはいきません。

いまだに説明不能

 教基法改悪案が国会に提出されて七カ月半がたちました。政府・与党は、いまだに、なぜ基本法を変えないといけないのか、まともな説明を一切おこなっていません。いや、やれないのです。

 十二日付の「毎日」に「なぜ今、愛国心」という鳥取支局の若い女性記者の記事が載りました。鳥取県内の大学生四百人に意見を聞いたそうです。愛国心を感じた事が「ある」人は八割近く。「スポーツイベントの時」が圧倒的で「日の丸を見たり君が代を歌ったとき」は最下位でした。六割の学生は愛国心は「必要」と答えたが、教育基本法に盛り込むことの是非を問うと、盛り込むべきではないが五割を超え、盛り込むべきだを圧倒したそうです。

 愛や道徳は国が法律で強制すべきではない。これは憲法の大原則であり、世代、立場をこえた国民の総意です。政治がやるべきことは、愛するに足る国づくりにこそあるのではないでしょうか。

 また法案は、教育への国家介入を無制限にしようとしています。十三日付の「朝日」社説は、法律や指導要領で決めれば何でもできると文部科学省は考えているのか、と厳しく批判しています。最高裁判決では、憲法の各条項から解き明かして「教育には自由、自主性がある」「国家権力の教育への関与はできるだけ抑制的でなければならない」とのべています。

規範欠ける文科省

 この憲法の土台を壊すことは、絶対に許されません。しかも、規範意識が最も欠けている反道徳的ないまの政府や文科省に、無制限の権限をわたせばどんなひどいことになるか、はっきりしているではありませんか。

 タウンミーティングでは「やらせ質問」。子どもがいじめで自殺しても「ゼロ報告」。こういう人たちに必要なのは無制限の権限ではなく、法案を取り下げ一から出直すことではないでしょうか。

 タウンミーティング問題で十三日、政府の最終報告書がでました。内閣府、文科省だけでなく複数の省庁が「やらせ」に関与していた。質問者、回答者の順番、回答の中身、すべてあらかじめ決められていたというケースまでありました。

 ところが誰に責任があるのか、一言もふれられていません。当時、官房長官としてタウンミーティングを統括する立場にあった安倍首相の責任こそ重大です。適切な責任のとり方は、法案の撤回です。これで幕引きなど許されません。教育基本法案提出の前提の問題として徹底的な解明を要求するものです。

新たなさくら事件

 本日(十三日)、わが党の井上哲士参院議員の追及で新たな事実が明るみに出ました。タウンミーティングは内閣府主催です。並行して文科省主催の「教育改革フォーラム」という集まりがおこなわれました。東京、石川、香川の三会場を衛星中継で結んで開催されました。そこで大変なことが起きていたのです。

 タウンミーティングと同じようにさくらが動員されていました。しかもただのさくらではありません。東京会場にはさくらのほかに一般の参加者もおられた。石川と香川は参加者全員がさくらでした。いわば「集団的やらせ」であり、「集団だまし」というひどい世論誘導がおこなわれていました。文科省の腐敗はきわまれりです。

 文科省は法案をうんぬんする前にやることがある。自らの不正・腐敗を徹底的に明らかにする、その仕事を国会が国民とともにおこなう、これこそ今やるべきことではないでしょうか。

込められた思い

 与党は「審議時間は十分とった」といっています。しかし問題は、時間ではなく中身です。国会が招致した参考人、公述人の方々はどういっておられるか。たとえば与党の側から呼ばれた方々が「もっと審議をつくすべきだ」といわれている。

 また二十人もの参考人、公述人の方々が「徹底審議を求めます」という異例の連名アピールを発表されました。こうのべられています。「私たちがのべた審議すべき重要な課題について、衆議院の特別委員会ではほとんど審議されませんでした。中央公聴会の場合は、私たちがのべたことは、一度も審議する時間もないままに与党のみによって法案採決が行われました」

 参議院でも今週、中央公聴会が開かれましたが、衆議院と同じことはぜったいに許されません。

 たたかいは大詰めです。全国から私たちに、毎日、熱い気持ちが込められたファクスや手紙が続々と届いています。

 込められた思いはただひとつ。「子どもたちを大切にしたい」、そのことです。若い世代は、自分たちがいじめ、いじめられていた苦しい思いを語りながら、苦しむ子どもをつくるのはもうたくさんだと立ちあがっています。

 そうした力が、改悪案の姿をあばき、「慎重審議をせよ」の圧倒的な国民世論となりました。この到達を確信に、最後の最後まで、全力をつくそうではありませんか。

 相手側も必死です。それを凌駕(りょうが)するたたかいを、今日、明日、明後日、そして、もし会期を延長するならその日まで、とことん組もうではありませんか。私たち日本共産党も全力をつくします。


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