2006年12月14日(木)「しんぶん赤旗」
労働時間規制除外
労働基準監督官 60%反対
規制強化・増員求める
全労働 アンケート
労働基準法が守られているか指導監督する労働基準監督官の60%が、労働時間規制の適用除外制度「日本版ホワイトカラーエグゼンプション」に反対している―十三日、発表された全労働省労働組合(国公労連加盟)の「労働基準監督官アンケート」で、こんな結果が分かりました。
エグゼンプションは何時間働こうが残業代も出ない制度で、厚生労働省が審議会に提案しています。労働行政の第一線で働く監督官の大多数が反対していることは、厚労省の姿勢が問われます。
アンケートは、厚労省の労働時間法制「改正」案について尋ねたもので十一月に実施しました。千三百十九人(回収率約80%)が回答を寄せ、エグゼンプションを「導入すべきでない」が60%、「導入すべき」17・9%を大きく上回りました。「どちらともいえない」は21・8%でした。
全労働は「長時間・過重労働がさらに助長されることを懸念する声が多い」と分析しています。
「管理監督者(時間規制の適用除外)のスタッフ職への拡大」や「企画型裁量労働制(労使で決めた時間を労働時間とみなす制度)の対象範囲の拡大」についても、「拡大すべきでない」とする回答が、それぞれ73・8%、71・5%と大多数が反対しています。
全労働は「現行でも範囲などが明確でなく、無限定な長時間労働を助長する懸念が強い」と指摘しています。
労働時間法制の改善方向(複数回答)については、「監督官の増員」71%、「(事業主による)労働時間の把握義務を強化」64%、「管理監督者の範囲を厳格化」57%、「労基法違反の罰則を強化」57%などが上位を占めました。
「現行法があまりにも順守されていない現状を改善するため、行政体制の充実を求める声が圧倒的。労働時間の把握すらまともにおこなわれていない職場が多い現状を問題視している」と全労働は強調しています。