2006年12月14日(木)「しんぶん赤旗」

「さくら」65人に謝礼/国が動員71回

タウンミーティング

政府、世論誘導認める


 政府のタウンミーティング(TM)調査委員会(委員長・林芳正内閣府副大臣)は十三日、小泉内閣で行われた百七十四回のTMに関する報告書を発表しました。報告書は教育基本法改定に対する賛成意見などを依頼した「やらせ質問」について、「『世論誘導』ではないかとの疑念を払しょくできない」と書き、政府自身「世論誘導」を認めました。

 この問題は、日本共産党が最初にとりあげ、追及してきたものです。

 報告書では(1)政府側が事前に内容を示して発言依頼する「やらせ質問」は教育改革、司法制度改革などをテーマにした十五回(2)内容を示さない発言依頼(「さくら」)は百五回(3)このうち司会者から特に紹介を受けず一般参加者にまぎれて発言したのが二十九回(4)国から公務員が動員されたのは七十一回としています。

 政府はこれを受け、小泉内閣で官房長官を務めた安倍晋三首相を含め関係者を処分し、TM再開の準備に入る予定です。

 「さくら」発言に謝礼金を支払ったのが二十五回六十五人、開催初期の二〇〇一年度のTM運営経費は一回平均二千二百万円で、その後の七百万円―千三百万円に比べて高額でした。

 やらせ質問があったのは教育改革の五回のほか、司法制度改革の六回、その他四回でした。

 そのうち司法制度改革TMの五回(〇四年十二月―〇五年十月)、「大学発タウンミーティングイン京都」(二〇〇二年十一月)、規制改革がテーマの「日本改新タウンミーティング」(〇三年七月)では、質問案とともに回答案と回答者もあらかじめ決めていました。

参加者排除も判明

ずさん会計の実態うきぼり

 政府の報告書から、タウンミーティング(TM)の悪質な運営やずさんな会計の実態が浮き彫りになりました。

 二〇○五年十一月二十七日に京都市で開催された「文化力親子TM」では、内閣府が事前に好ましくないと判断した複数の人物を排除するため、約五十人を抽選で落としたことが分かりました。

 こうした手法に、調査委員の国広正弁護士は「不公正の度合いは極めて高く、許容できない」と批判しています。

 特定の内容の発言を依頼する「やらせ質問」は文部科学省が主導し、内閣府TM室や法務省もこうした手法を踏襲しました。

 ○三年十二月十三日、岐阜市で開催された第一回教育改革TMでは、五人に「やらせ質問」を依頼し、四人が実際に発言。「やらせ」を行った理由として「教育基本法改正に反対するもののみが発言する可能性があり、賛否両論幅広い意見が出るよう配慮」したと書いています。

 高額なTM運営経費から、業者任せの実態も判明しました。○二年度前半分の契約書には、「会場における送迎」「エレベーター手動」「エレベーターから控室までの誘導」などの項目に、単価二万九千円を計上。調査委員会は「国民が理解し難く、疑問の多い価格設定」と指摘しています。


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