2006年12月13日(水)「しんぶん赤旗」

アナン総長最後の演説

米の単独行動主義批判

イラク戦強行 “人権・法”が欠如


 【ワシントン=鎌塚由美】十二月三十一日で退任する国連のアナン事務総長は十一日、米ミズーリ州で国連事務総長として最後の演説を行い、イラク戦争を強行したブッシュ政権の単独行動主義を厳しく批判しました。


 アナン氏は自らの十年間の任期を振り返り、国際社会において▽安全保障についての共同の責任▽福祉と繁栄のための地球規模の連帯▽人権尊重と法の支配▽これらの課題についての各国の説明責任▽公正と民主主義的方途を通じた多国間機関の組織づくり―という五つの教訓が「将来にわたる基礎だと確信する」と強調しました。

 「地球規模の安全保障と繁栄に、人権と法の支配が不可欠だ」と述べたアナン氏は、「米国は、歴史的に世界規模の人権運動の先駆けとなってきた」としながら、「その優位を主張できるのは、テロリズムに対するたたかいを含めて、その原則に忠実な場合にだけだ」と指摘。「その理想と目的を放棄したとみえる時、世界の友人たちは、当然ながら憂慮し、困惑する」と述べ、ブッシュ政権の「対テロ戦争」における「人権と法の支配」の欠如を指摘しました。

 また、ブッシュ政権が国連を無視してイラク戦争を推進したことを念頭に、「世界が軍事力行使を正当だと認めるのは、広く受け入れられた規範に従い、広く共有された正しい目的の行使のためと確信するときだけだ」と述べました。「他国を支配することで、自国を安全にできる国はない」とも語りました。

 退任演説の場所は、一九四五年の国連創設時に米大統領だったトルーマン(ミズーリ州出身)の記念図書館。アナン氏は、同大統領の「大国の責任は、世界の人々に奉仕することであり、支配することではない」との言葉を引用。「今日、米国がお高くとまったままでは、われわれの国際組織は一つとして多くを成し遂げることはできない」とも語りました。


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