2006年12月13日(水)「しんぶん赤旗」

「防衛省」法案

良識の府は慎重に

参院委で参考人質疑 「説得的説明ない」


 自衛隊の海外派兵を本来任務(主要任務)と位置付け、防衛庁を省に移行させる「防衛省」法案について、参院外交防衛委員会は十二日、専門家から意見を聞く参考人質疑を行いました。

 早稲田大学法学部の水島朝穂教授は、参院が防衛庁発足時に海外出動を禁止する国会決議を採択したことも挙げながら、「良識の府である参院では、より慎重な審議が求められている」と述べました。

 水島氏は、法案に反対する理由として、▽省に移行させる説得的な説明がほとんどない▽本来任務とされる海外任務に歯止めがない▽実質的には「憲法改正」の先取りになっている―の三点を指摘しました。

 このなかで、防衛庁が庁のままであった理由の根底には、広島・長崎での核戦争の体験、沖縄の地上戦、アジア民衆の犠牲の上につくられた「憲法九条の存在がある」と強調しました。また、時限立法であるテロ特措法、イラク特措法について「(両法には)賛成の方でも、恒久法であれば賛成しなかっただろう内容と性格がある」とし、この両法に基づく海外活動まで本来任務にしようとしていることを批判しました。

 拓殖大学海外事情研究所の森本敏所長は、法案について「基本的に賛成」と主張。法案成立後に必要なこととして、▽海外活動をいつでも可能にする恒久法の制定▽自衛隊がアジア太平洋地域に展開するための前進基地をグアムやその周辺に建設する▽軍事機密保護を公務員以外も含めて強化する法整備―を求めました。

あす委員会採決

参院委理事懇 共産党は反対

 参院外交防衛委員会の理事懇談会が十二日に開かれ、自衛隊の海外派兵を本来任務(主要任務)に位置付け、防衛庁を省に移行させる「防衛省」法案について、十四日午前に同委員会で質疑を行ったのち採決することを決めました。

 与党側が十四日の採決日程を提案したのに対し、民主党は、参院での審議時間が短く、日本共産党や社民党が求める慎重審議も筋だとしながらも、会期末という例外的な状況だからとして採決日程に賛成しました。

 日本共産党の緒方靖夫議員は、法案の問題点が次々に明らかになっており、慎重審議すべきだと要求し、採決日程に反対しました。


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