2006年12月12日(火)「しんぶん赤旗」
六カ国協議の再開 18日から
具体的成果が焦点に
十八日からの再開が決まった六カ国協議では、北朝鮮の核放棄に向けた具体的な成果が得られるかが焦点になります。
北朝鮮は昨年九月の第四回協議で、すべての核兵器と核開発計画の放棄を約束。共同声明は、北朝鮮が長年求めてきた米朝正常化を双方の約束として明記、朝鮮半島に恒久的平和体制を確立するため協議することを盛り込んでいました。
共同声明の履行計画について協議する昨年十一月の第五回協議で、北朝鮮は米国の金融制裁に反発し、態度を硬化。議長国・中国の武大偉外務次官が「共同声明履行に向けた具体的計画、手順の作成で合意した」とする声明を発表したものの、休会に入った協議が再開されないまま、一年余が過ぎました。
この間、北朝鮮は、「米国が制裁を続ける限り六カ国協議に参加しない」として、復帰を拒否。ミサイル発射実験(七月五日)や核実験(十月九日)の実施に踏み切り、自らを「核保有国」と称するに至りました。
共同声明や国際法を踏みにじり暴走する北朝鮮に対し、国連安全保障理事会は十月十四日、制裁決議を全会一致で採決。決議は、「国際の平和と安全への明白な脅威が存在している」として、大量破壊兵器計画関連物資などの北朝鮮への流入を遮断する措置を各国に求めました。
一方で、決議は北朝鮮核問題の解決に向け「緊張を激化させる可能性のあるいかなる行動も慎み、六カ国協議の早期再開を促進する外交努力を強める」よう各国に要請。六カ国協議の再開に向けた外交交渉が続いていました。
十月三十一日には、中国・北京で米中朝三カ国の非公式協議が行われ、協議再開で合意。十一月末の非公式協議では、米側が、核放棄に相応する具体的な措置を北朝鮮に提案したといいます。
米国は(1)寧辺の実験用黒鉛減速炉の即時稼動停止(2)国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れ(3)豊渓里にある核実験場の閉鎖(4)すべての核施設・核計画の申告―など、核放棄への具体的措置を要求したとされます。
また米国は、北朝鮮の核放棄に見合う措置として、「朝鮮戦争の終結を公式に宣言し、停戦協定を平和協定に転換」「エネルギー支援、経済協力を進める」ことなどを提示しています。
北朝鮮側はこれを本国に持ち帰り、検討するとしていました。
北朝鮮側の検討内容は明らかではありませんが、核放棄に対する「見返り措置」を先行するよう求めています。
米朝双方の主張にはまだ隔たりがあり、六カ国協議の場でどのような解決方向が示されるかが注目されます。(中村圭吾)