2006年12月12日(火)「しんぶん赤旗」

弱者の立場でのたたかい

県民は見ていた

保守系有力者

茨城県議選 共産党の得票増


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(写真)激戦に勝ち抜き万歳する大内久美子さん(中央)と党員、支持者=10日、水戸市

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(写真)支援者と当選を喜び合う山中泰子さん(右から2人目)=10日、つくば市竹園の選挙事務所

 「給料は上がらないのに所得税が上がってる。弱い人の立場に立って税金が上がるのを抑えてもらいたい」。投票日翌日の十一日、水戸市で茨城県議選の結果を報告するビラを受け取った会社員の女性(24)は、そんな願いを込めて「大内久美子さんに投票した」と話しました。

 他党派から「大内さんは実績があるから大丈夫、票を回してほしい」「大内さんは当選が難しいから、うちの候補に」などと激しい切り崩しが集中した水戸市区。このなかで当選した共産党の大内さんの得票は前回(二〇〇二年)に比べ千六百六十九票増やし、一万二千二百六十七票でした。得票率も前回の12・87%から13・49%になりました。

 つくば市区で当選した山中泰子さんは、前回比八百四十七票増の九千四百二十票を獲得。新人の野口利枝子さん(取手市区)、根本陽一さん(日立市区)は議席には届きませんでしたが、それぞれ得票を百二十九票、千二百八十六票増やしました。

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4選挙区すべて衆院比例上回る

 〇五年衆院選の比例票と比べると、日本共産党は水戸市区で一・六倍、取手市区で一・五倍など四選挙区すべてで得票を伸ばしました。候補者を立てた全選挙区で比例票を上回ったのは、日本共産党だけです。

 水戸市内のある保守系の有力者はいいます。「大内さんの当選はすばらしい快挙だ。大方の陣営は『大内候補の落選は間違いない』と見ていた。私もよくて五番目にすべりこむか、次点と見ていた。しかし、世の中が勝ち組負け組になっているなかで常に権力を持たない弱者の立場で、大内さんがたたかい続けたことを見ている人がいたからだろう。県政は本来、市民生活と直結しにくいものだが、大内さんは県政と市民の距離を縮めた結果が当選ということだと思う」

 大内さんの得票増は、保守陣営も想定していなかったものでした。

いっせい地方選・参院選へ

前進の芽切り開く

 日本共産党は今回の茨城県議選を、県政の今後を決める選択であるとともに、来年四月のいっせい地方選、七月の参院選の出発点と位置付けてたたかいました。国の自民・公明政治の矛盾からこれまで自民党を支持してきた保守層の“自民離れ”もみられるなか、市民アンケートで要求を聞くなど広範な有権者との対話をめざしました。

 田谷武夫県委員長は「県議選の結果は、二大政党キャンペーンのなかでも現有議席を確保してふみとどまり、日本共産党前進の芽を切り開いたものです。また、自民党離れが進み、支持基盤が崩れていることも証明されました。悪政とたたかって保守・無党派層との共同を強め、公約の実現と来年のいっせい地方選、参院選での前進をめざしていっそう奮闘する決意です」とのべています。


増税・ムダ遣い 自民が「王国」で後退

 振るわなかったのは自民です。

 自民党は、前回より四人多い四十九人の公認を擁立しました。しかし改選前の四十四議席から三十九議席と後退。「『自民王国』つまずく」(「東京」十一日付)という見出しの号外が出ました。

 水戸市区では三人の現職のうち二人が落選し、県連副会長や県議会議長経験者などの大物が議席を失いました。「全国で二番目に自民党員が多い」(麻生太郎外相)という自民党王国の茨城県。山口武平県連会長は「老人が年金をもらえるかという不安など、小泉内閣の後始末の問題が絡み合い空気が悪かった」(「朝日」十一日付号外)と語りました。

 水戸市の自民陣営の一人は「当選した水戸市の自民候補は二万五千票や二万票を取ると豪語していたが、結局とったのは一万四千票だった。しがらみにとらわれ、知事の顔色を見ないと発言できない議員への批判があり、それを市民が目を見開いてみた結果だったのではないか」といいます。

「オール与党」と共産党との対決

 選挙戦は住民税増税、県政のムダ遣いに関心が集まり、オール与党と日本共産党との対決になりました。

 今年から始まった定率減税の縮小・廃止で県民税が大幅に上がり多くの県民が悲鳴をあげました。

 県政でも増税条例に賛成し、大増税を進めたのは自民、公明、民主の「オール与党」だという訴えは共感を呼び、対話で「国保料が上がって払えず未加入になった。庶民の味方は日本共産党だけだ」(取手市)などの声が寄せられました。

 大内、山中両候補は県民の立場から負担軽減を訴え、談合で指名停止を受けた企業の請負契約を反対討論の通告をすることでストップさせ、入札制度を改善させるなどの実績をあげてきました。

 委員会質問回数が“トップは共産大内氏、二位は山中氏”(「東京」)と報じられた抜群の議会活動とともにこうした実績が支持を広げました。

 県民の批判を避けるために「オール与党」の一翼を担う民主党は「住民の力で住民税を下げよう」(河村たかし衆院議員)と、県議会で増税に賛成した態度を覆い隠しました。法定ビラでは「現状では、議員本来のチェック機能が働きません」と書きました。

 “野党ポーズ”を強調した民主党新人に対し、つくば市区では山中候補が二千票の大差をつけて競り勝ちました。


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