2006年12月12日(火)「しんぶん赤旗」

難病医療 初の切り捨て

9万人が対象に

厚労省懇談会が意見

かいよう性大腸炎 パーキンソン病


 難病患者に対する公費負担医療制度(特定疾患治療研究費補助)の適用範囲の縮小を検討していた厚生労働省の特定疾患対策懇談会(健康局長の私的諮問機関)は十一日、かいよう性大腸炎とパーキンソン病の患者合わせて九万人以上の補助を打ち切るとの意見をとりまとめました。


 同省はこれを受け、来年度予算案に縮小を盛り込み、来年十月から補助を打ち切る構えです。対象患者の縮小は一九七二年の制度開始以来初めて。命に直結する内容に、患者や家族は「重大な決意で抗議する」と怒りの声をあげました。

 懇談会では、補助の適用範囲を縮小し、かいよう性大腸炎の軽症者と、パーキンソン病は五段階の重症度分類の3度の患者(1―2度はもともと対象外)を除外するとしました。

 これを許せば、かいよう性大腸炎は適用患者約八万人の66%、パーキンソン病は同約七万三千人の51%が補助を打ち切られることになります。

 同日の懇談会では一部の委員から、パーキンソン病の患者を除外することに「医療費の負担が重く十分な検討が必要」との意見も出ましたが、同省案通りに意見を取りまとめました。

 厚労省は、二疾患の患者数が、難病の要件の一つとされる希少性の基準「おおむね五万人未満」を上回るとして、適用範囲の縮小方針を打ち出しました。しかし希少性の基準は、制定当時の難病患者数を基礎にしたものであることが明らかになっており、政府方針の根拠は崩れています。

 日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表は、懇談会後の記者会見で、「委員から問題とする声も出たが、取りまとめにはまったく反映されず、結論先にありきのやり方に怒りを覚える。これで決定とせず、国会や厚生科学審議会の委員会で十分議論すべきだ。今後、運動を強めていきたい」と語りました。


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