2006年12月10日(日)「しんぶん赤旗」
国連総長
国連主導の会議提案
イラク 内戦の危険さらに拡大
【ワシントン=鎌塚由美】国連のアナン事務総長は八日、安保理にイラク情勢に関する報告書を提出しました。そのなかでアナン氏は、前回報告を行った三カ月前よりも、内戦や地域紛争となる可能性がいっそう高まったと指摘しました。
アナン氏は、前回の報告で「重要な岐路にある」と表現したイラク情勢がさらに悪化し、「宗派間暴力やテロ、犯罪の増加」によって、一般市民の犠牲者の数は「空前の高さ」となっていることを指摘しています。「現在の暴力を制御するだけでなく、その拡大を防ぐことが課題」だと述べました。
アナン氏は、「宗派間の虐殺は、仕返しの殺人によって暴力の悪循環を生み出している」とも述べ、イラク各派の和解を促す、国連主導の国際的な会議を改めて提案しました。イラク政府に対し、▽すべてのグループが参加できる完全に包括的な政治プロセスを発展させる▽テロリストに対処し、民兵問題も解決するために政府による武力行使の独占を確立する▽近隣諸国との関係改善し、イラクの治安の安定化を支援する地域的な環境をつくる、などに取り組むべきだと提案しました。