2006年12月10日(日)「しんぶん赤旗」

枯れ葉剤被害兵士に補償

ニュージーランド ベトナム戦で方針


 【ハノイ=鈴木勝比古】ニュージーランド政府は七日、ベトナム戦争に参加して枯れ葉剤を浴び発病した兵士とその遺族に総額約三千万ドル(約三十四億五千万円)の補償金を支払うことを発表しました。ゴフ国防相とバーカー退役軍人担当閣僚が発表しました。オークランドからの報道が伝えました。

 ニュージーランド政府の発表によると、枯れ葉剤を浴びて発病した旧兵士個人に四万ドル(約四百六十万円)、発病した兵士の子どもの家族に三万ドル(約三百四十五万円)、枯れ葉剤で発病し死亡した兵士の配偶者に二万五千ドル(約二百八十七万円)が支払われます。同時にクラーク首相が謝罪を表明することになっています。

 ニュージーランドは米国が主導したベトナム戦争に一九六五年から七二年にかけて参戦し、三千二百人が従軍しました。参戦兵士は米軍が散布した枯れ葉剤を浴び、その後、多くの兵士ががん、白血病、腫瘍(しゅよう)などを発病しました。このうち現在も約二千五百人が生存していますが多くが病気にかかっています。兵士の子どもも脊椎(せきつい)水腫、口がい裂、白血病などを発病しています。

 旧参戦兵士は「旧ベトナム参戦軍人会」を組織し、政府に対し補償と謝罪を要求してきました。

 ベトナム戦争中、米軍は六一年から七一年までの十年間に猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤約七千六百万リットルをベトナム南部各地に散布しました。ベトナム人約三百万人が何らかの枯れ葉剤被害を受けているといわれます。ニュージーランド軍は米軍とともに枯れ葉剤散布に参加し、散布地域での作戦にも参加しました。

 米政府はまだ枯れ葉剤散布がベトナム住民や従軍兵士の発病の原因であることを公式に認めていません。


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