2006年12月10日(日)「しんぶん赤旗」
宮崎・官製談合
“自民王国”の腐敗深く
政治家・業者・県幹部が癒着
“指名入札の不透明さが原因”
宮崎県の公共工事発注をめぐる官製談合事件は八日夕、安藤忠恕(ただひろ)前知事(65)が談合を主導したとして、逮捕されました。事件の全容解明は当然ですが、現地をまわって聞こえてきたのは、「事件は氷山の一角。“天の声”もいろいろだ」というささやきです。県民の税金を食いものにする利権・腐敗の奥深さにメスを入れるときです。(佐藤高志)
「事件の報道を聞いたとき、国会議員の関与までいくのかと思った」―。ある建設会社の幹部は、こう打ち明けます。
農業と建設業が主産業である宮崎県は、全国有数の“自民王国”です。
県内の建設業者をまわると、安藤前知事だけでなく、「ダーティーな噂の絶えない国会議員も多い」との話があちこちから聞かれました。
ある業者は、公共工事発注をめぐる自民党政治家の関与の根深さを、次のように打ち明けます。
県選出のある国会議員が目の前で、「『誰のおかげで仕事を受注できていると思っているのか』とある業者を一喝した。あまりに露骨で、さすがに驚いた」と。
「今回の談合事件は『氷山の一角』だ」、「『天の声』は安藤前知事以外にも飛び交っていた」との声も少なくありません。
「『天の声』が出るような談合は、大手業者が参入する公共工事だけ」ともらすのは、ある建設会社社長です。
「業者に絶対的な力を持つ役所が絡んだ上で、測量設計業協会や建設業協会が調整役を務める。今回の『談合』は典型。ここにメスを入れない限り腐敗の温床はなくならないね」と指摘します。
今回の談合事件でも、県外業者のヤマト設計への受注に反発した県内業者を黙らせたのは、県測量設計業協会の志多克彦会長でした。
関係者の話から浮かび上がるのは、自民政治家と県幹部、一部の大手業者が複雑に癒着する“構造腐敗”なのです。
元秘書に謝礼金
「談合が生まれるのは指名競争入札の不透明さにも原因がある」との声も多く聞きました。
誰もが参加できる一般競争入札は、宮崎県の場合、十五件(二〇〇五年度)。指名競争入札の実施は二千二百十二件(同)にのぼります。
指名競争入札にあたって、宮崎県は参加資格申請をした業者のうち数社を選び指名します。
県は指名の選定基準を「土木部長や所長、事業の所管課長らが参加する指名審査会の審議で決定している」としていますが、申請しても十数年、指名からもれる業者も出るなど、不透明感は、ぬぐえません。
建設関係者は一様に、「不透明な業者選定が実施されれば、政治家や業界団体などの口利きの余地が生まれるのはやむをえない」と指摘します。
安藤前知事も初当選後の〇三年九月、後援会から政治指南役の元国会議員秘書の石川鎮雄容疑者に、「これまでの政治活動の指南役への謝礼が必要」として五千万円を提供していたことが発覚。ヤマト設計側から石川容疑者に〇四―〇五年に一千万円が「顧問料」として支払われていました。
安藤前知事の後援会団体のある幹部は、「長年の談合体質からは抜けきれなかったのでは」と指摘します。
官製談合で暴利を得た建設業者が、その見返りに仲介者に裏金を渡す―構図は、福島県、和歌山県の事件と同様です。
オール与党議会
なによりも、官製談合など行政の不祥事・不正を監視すべき県議会は、機能していたのか。
住民の立場にたつ日本共産党の議席が空白で、定数四十二のうち、自民党県議が三十二人を占め、民主、社民、公明すべてが「オール与党」の宮崎県議会。官製談合が発覚した時点からの県議会の対応はすべて後手です。法的拘束力のある知事への「不信任決議」を県議会が可決したのは県警が安藤前知事への強制捜査に踏み切る方針を固めた十二月一日でした。
官製談合事件をうけ、地方紙は、「知事選には多くの議員がかかわり議会で『オール与党体制』を構成していることから、議会のチェック機能が甘くなり、知事の独走を許してしまった」(長崎新聞五日付)と、「オール与党」県議会の“なれ合い体質”を批判する論調を強めています。