2006年12月10日(日)「しんぶん赤旗」
主張
石原知事の都政私物化
都民の税金なんと心得る
東京都の石原慎太郎知事が来年の知事選への出馬を表明しました。
豪華海外出張や都事業への四男重用問題などにみられる都政私物化への批判の高まりのなか、石原氏のおごりと無反省を示すものです。
違法性ないと開き直り
石原氏は議会で出馬表明した後の記者会見で、今度の問題について「日本共産党のネガティブキャンペーン(中傷攻撃)」と言いました。とんでもない、いいがかりです。
都議会は自民、民主、公明が石原氏と一体の「オール与党」議会です。日本共産党が知事の浪費と都政私物化に批判の口火を切らねば、だれもものをいわないのが都政の実態です。
事実、日本共産党の告発で、初めて石原氏の真の姿を知った都民から、都庁に抗議が殺到しています。この都民の怒りを背景に、マスメディアの批判的な報道も広がっています。石原氏がこれを党略的な中傷攻撃としか認識できないとしたら、公的な地位にある者に最低限求められる「自らを省みる」姿勢が欠けているというしかありません。
石原氏は議会で、四男が都の税金で海外出張したことについて「違法性はない」と答えました。
倫理の基準を「違法でなければなにをやってもいい」というところまで引き下げてしまうなら、これはもう公人の行動規範とはいえません。
しかも四男のスイス出張の旅費百二十万円は、条例にもとづく手続きをとらず、都のイベント費に紛れこませて支払われました。脱法的な「税金の迂回(うかい)支出」(都議団)です。
日本共産党都議団の請求で開示された都の文書には、四男の他の海外出張でも、都の参与が同じからくりを使って、なんとか公費を支出させようと知恵をしぼっている様子がくっきり残っています。
石原氏は、自分の息子を「余人をもって代え難い」「立派な芸術家」で「おおいに役に立った」とほめ上げ、世間をあきれさせました。今後も都の事業に「身内であってもどんどん使う」と言い放ち、身内の重用で行政の「公正」を傷つけた責任を、まったく自覚していません。
豪華海外出張でも石原氏は少なくとも二億四千万円以上を使いました。飛行機もホテルも最上級という贅沢三昧(ぜいたくざんまい)です。日本共産党は都議会で、飛行機の等級を規定通りにするだけでも、都が切り捨てた多くの福祉施策を復活できることをあげ、「都民の税金をなんとこころえるのか」と迫りました。
石原氏は都の役人に「支出は適切だった」と何度も答えさせました。「海外出張は都民が納得できるものに厳選し、費用の節約に努めると約束しなさい」という質問には、知事はついに答えませんでした。
いま各地で知事の犯罪が摘発されています。石原氏は会見で、これらの汚職と自分の問題は性格が違うと強調し、「(批判は)笑ってはねかえす」とのべました。権力の上にあぐらをかいた知事のモラルの欠如という点では、なんの違いもないことを指摘せざるをえません。
都民の共通認識へ広がり
「法に反しなければなにをやってもいい。都民には痛みを押し付け、自分は超豪華な海外視察に行く。こういう行政のトップを持つ都民は本当に不幸だ」。日本共産党の清水ひで子都議が都議会の演壇からのべた言葉は、いま広い都民の共通の認識として広がりつつあります。
石原氏が自らの誤りを認めないなら、都民を代表する資格に欠けることになるのは明らかです。