2006年12月9日(土)「しんぶん赤旗」
国民13%が貧困危機
一人親・学校中退で高水準
ドイツ
【ベルリン=中村美弥子】ドイツ連邦統計庁は五日、国民の13%に当たる約一千六十万人が貧困の危機にさらされているとする調査結果を発表しました。結果は、富裕層と貧困層だけでなく、旧東独部と旧西独部の格差が広がっていることを浮き彫りにしています。
調査によると、貧困状態に陥るリスクが高いグループは、子どもを抱えた一人親、学校中退者、失業者、旧東独部在住者でした。高リスクにあるのは勤労者は5%であるのに対し、失業者は43%、学校中退者は25%にのぼっています。子どもを抱えた一人親の家庭は30%と高水準。年金生活者は14%となっています。
連邦統計庁は、失業手当、家賃補助、育児手当などの公的な社会保障が受けられない場合、国民の四人に一人が貧困の危機にさらされると警告。失業や貧困の問題にいっそう力を注いでいく必要性を示唆しています。
調査は、欧州連合(EU)が定めた規定によって「貧困」を定義。国民の平均所得の60%未満の人を貧困のリスクにあるとし、40%未満を貧困と定めています。
ドイツ第一公共テレビ(ARD)によると、貧困リスク層は、(二〇〇四年の所得水準で)単身者で八百五十六ユーロ(一ユーロ=百五十三円として、約十三万一千円)、夫婦と子ども二人の世帯で千七百九十八ユーロ(約二十七万五千円)未満の家計所得の市民を指します。