2006年12月9日(土)「しんぶん赤旗」
米が新たな「核安全装置」
テロリストに使わせない
自らは手放さず
【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領の秘密命令にもとづいて、米国の核兵器研究所が部外者に核兵器を起爆できないようにする装置の研究を行っていることがわかりました。五日付の米紙ロサンゼルス・タイムズが報じました。
それによるとこの「安全装置」は、米国の核兵器を管理するため議会が設置します。国防総省とエネルギー省で構成する「核兵器理事会」が先週開いた会合で承認した「信頼できる交代用核弾頭」(RRW)計画の一環だということです。
現在も核兵器には「電子ロック」などの「安全装置」が付けられています。新たな装置は「放射性物質をまき散らさず、爆発も起こさずに自己破壊する」というもの。核兵器の「電子機器部分を破壊し、プルトニウムやウランを利用不可能にする」といいますが、その仕組みは秘密だとしています。
研究は、三年前の国家安全保障大統領指令(NSPD)十七にもとづいて始まったもので、狙いは「テロリスト」の手に誤って渡っても使われないようにすること。ローレンス・リバモア国立研究所のグッドウィン主任研究員は同紙に、「冷戦」中に製造された核兵器は「テロリズムの時代」に備えて設計されていないと語っています。
このことからも、現存する核兵器を引き続き使用可能にするという発想から行われていることは明らかです。同紙も「(テロリストが米国の核兵器を盗むという)ありもしない問題を解決しようとしている」という批判の声を紹介しているように、膨大な数の核兵器を手放さないという戦略に立てばこその「懸念」といえます。