2006年12月9日(土)「しんぶん赤旗」
ただ働き・解雇 野放し
厚労省報告案労政審に提案 労働側、削除求める
厚生労働省は八日の労働政策審議会労働条件分科会に、労働時間と労働契約にかんする最終報告案を提案しました。何時間働いても残業代が出ない制度(ホワイトカラーエグゼンプション=労働時間規制の適用除外)、不当解雇でも金さえ払えば解雇ができる「解雇の金銭解決制度」、労働者が反対しても就業規則を変えれば労働条件を変更できるなど、財界が求める“労働ビッグバン(大爆発)”の内容が盛り込まれました。
労働者委員は「(エグゼンプション、金銭解決制度は)全文削除すべきだ」と批判。二十一日に再論議することになりましたが、最終報告のとりまとめはヤマ場を迎えています。
報告案は、エグゼンプションを「自由度の高い働き方」と呼び、対象者は「労働時間で成果を評価できない」「相当程度高い年収」など使用者が都合のいいように解釈できる四つの要件に該当する労働者としました。
就業規則による労働条件変更では、「労使の協議状況」などから「合理的」と判断できれば認めると規定。労働者や少数組合が反対しても、企業に都合のいい契約を押し付けられる仕組みです。
また、国は、法律の解釈・周知をおこなうだけで、「労働基準監督官による監督指導は行わない」としています。
一方、長時間労働是正のため労働側が求めていた時間外割増賃金引き上げは、「労使自治により努力する」と棚上げ。パートなど有期契約についても「不必要に反復更新しないよう配慮」としただけで正社員化や均等待遇も見送られました。
審議会で労働者委員は「エグゼンプションは過労死・過労自殺を促進する」「金銭解決は、金さえ払えばどんどん首切りができる」と批判。使用者側委員は「過労死なんてナンセンスな話」「年収要件などいらない」などとのべました。
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