2006年12月8日(金)「しんぶん赤旗」

原子力空母配備の是非

住民が決めるの大切

投票署名に米基地前商店街変化


 神奈川県米海軍横須賀基地正面ゲートの真向かいにある横須賀市本町商店街(約九十店)、通称「どぶ板通り商店街」。二万人に迫り、現在も広がりつづける同基地への原子力空母配備の是非を問う住民投票条例を求める署名の期限(十日)まであとわずかです。商店街の人たちの思いを聞いてみました。


横須賀 10日の期限迫る

 商店街のある男性(57)は、「放射能漏れの心配はあるけど、ベース(基地)があることによって商売が成り立っている」と語ります。

 商店街の出しているガイドブックによれば、商店街は明治時代から旧日本海軍の軍港街として栄え、通りの真ん中を流れるどぶ川を海軍工廠(こうしょう)から提供された厚い鉄板でふさいだことから、「どぶ板通り商店街」と呼ばれるようになりました。第二次世界大戦後に米軍が駐留して以降、米軍基地と共存してきました。

 米兵の勲章などの縫い付けもする洋服屋の女性(38)は語ります。「本当は、原子力空母や基地があることには反対です。でも、空母が停泊しているときは、そうでないときの二倍くらい客足が多いんです」。

 初めは、「(空母配備は)いいも悪いも上の人が決めればいいと思う」と話していた飲食店を経営する女性は、「…考えてみると、人間のつくったものに絶対安全なものはない。住民投票は大事だね。いいのか悪いのか、いろんな人の意見を聞いて結論を出した方がいい。私は、原子力空母はない方がいいと思う。平和が一番です」と思いを打ち明けました。

 花屋スタッフ(27)も「原子力空母は良くないけど、空母がこなくなってベースがなくなると人がこなくなってしまう。ノーとは言えない」と言いつつ、「住民投票でみんなの意見を聞くというのは、悪くないと思います」と話します。

 また、自民党市議のリーフを置いている飲食店の男性店主(73)は「うちの店で、地元の人がお客さんから署名を集めていて、みんな署名してたよ。今度の空母はやばいよ。米兵のトラブルも心配だ。今でも米兵が大声を出してケンカしたり、表に出ない事件がたくさんある。『住民で決める』っていうことを広げなきゃ」。

 はりきゅう治療院を営む男性(64)は、署名を集める受任者となりました。近所を訪ね歩いたり同院に署名簿を置いたりして、署名をたくさん集めています。男性は静かな口調ながら熱意を込めて語ります。「原子力空母配備は、横須賀市の人口減に追い打ちをかけることになる。子どもたちの将来のためにも、住み良い安全な街を残したいんです」。


 原子力空母配備の是非を問う住民投票条例を求める署名 二〇〇五年十月、米海軍が横須賀基地を母港としている通常型(軽油を燃料とする)空母キティホークに替わり、原子力空母ジョージ・ワシントン(乗組員約五千人)を〇八年に配備することを発表。配備に反対していた横須賀市長が〇六年六月に容認したことを契機に、市民の間で「横須賀市の将来は、市民自身で決めよう」と、地方自治法に基づいて十一月十日から一カ月の期間で同署名が始まりました。


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