2006年12月8日(金)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪強行許すな中央決起集会での

志位委員長のあいさつ (大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が七日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた、教育基本法改悪法案の強行を許すな12・7中央決起集会で行ったあいさつの大要は次の通りです。


写真

(写真)訴える志位和夫委員長=7日、東京・日比谷野外音楽堂

 みなさん、こんばんは。連日のように、全国各地から数百、数千というみなさんが、「教育基本法を守れ」と、熱い思いをこめて国会要請をしてくださっていることに、私たちも励まされています。私は、日本共産党を代表し、最後までともにたたかいぬく決意をこめて、心からの連帯のあいさつをおくります。(拍手)


地方公聴会でも、世論調査でも、「慎重に審議をつくせ」が圧倒的多数

 国会の現状ですが、いま参議院の特別委員会では、与党――自民・公明が、締めくくり総括質疑をおこなうことを提起するなど、何がなんでも今国会で法案の強行をはかるという構えをみせています。こんなことは絶対に認められるものではありません。

 与党は、「審議はつくされた」といいます。しかし、参議院段階で、この間、全国六カ所でおこなわれた地方公聴会ではどういう声がよせられたでしょうか。地方公聴会では、二十四人の公述人が発言していますが、そのうち十三人は与党提出の教育基本法改悪法案にたいして反対、ないし慎重な審議をもとめています。公述人のなかで、今国会での法案成立をもとめたのはたったの一人にすぎませんでした。それならば、地方公聴会の声をうけて、慎重で徹底的な審議をつくすのが、国会のつとめではありませんか。

 どの世論調査でも、国民の圧倒的多数は、「子どもたちの未来にかかわることだから、慎重に審議をつくしてほしい」という声をあげています。

 みなさん。今国会での法案の強行などというのは、国会がみずからおこなった地方公聴会の声を無視し、国民の声を無視するものであり、絶対に許すわけにはいかない。まず、このことを訴えたいのであります。(拍手)

教育基本法改悪法案の根拠はことごとくくずれた

 みなさん。私たちは、前国会と今国会の質疑のなかで、教育基本法改定のどこが問題かを、何よりも子どもの立場、国民の立場にたって追及してきました。私は、これまでの衆参での質疑をつうじて、政府提出の法案の根拠はことごとくくずれたと思います。

 第一に、そもそも「なぜ改定が必要か」について、政府は今日にいたるまで、何一つまともな説明をしていません。政府が、「国民の理解を得ている」といって、その「根拠」として唯一もちだしたのはタウンミーティングでした。しかしこれは、「やらせ」と「さくら」でした。この事実は、政府に教育を語る資格がないことをしめすだけではありません。「なぜ改定が必要か」にひとかけらの根拠もないことを、自ら証明するものではないでしょうか。(拍手)

 第二に、政府提出の改定案の憲法に反する問題点――子どもたちの内心の自由をふみにじって「愛国心」を強制する、国家権力による教育内容への無制限の介入に道を開き、教育の自由と自主性をふみにじる――この二つの問題点について、政府は、まったく説明不能におちいっています。

 とりわけ最大の焦点は、教育基本法第一〇条――「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」――教育基本法の「命」ともいうべき条文を壊すことが、憲法上許されるのかということです。戦前の戦争教育の反省のうえにたってつくられたこの条文は、戦後、全国一斉学力テストのおしつけ、学習指導要領のおしつけ、不当な教科書検定、「日の丸・君が代」の強制など、国家権力の不当な介入から教育の自由をまもる国民のたたかいのよりどころとなってきました。

 「教育内容にたいする国家的介入はできるだけ抑制的でなければならない」――この大原則が、日本国憲法の要請から生まれたものだということは、一九七六年の最高裁判決でも明確にのべていることです。それならば、「国家的介入を抑制」するよりどころになっている第一〇条を削除することは、憲法に反するではありませんか(拍手)。私たちのこの批判に、政府はいまにいたるまで何の説明もできないでいます。

 第三は、教育基本法改悪が、いま国民が心を痛めている現実の教育の問題の解決に逆行するという問題です。いじめ問題でも、なぜいじめが起こるのか。その根源の一つは、過度の競争教育によって、子どもたちが耐えがたいストレスにさらされ、心が傷つけられていることにあります。ところが教育基本法改定でまっさきにやろうとしていることは、全国一斉学力テスト、学校選択制など、競争教育を歯止めなくひどくすることばかりです。これが教育の荒廃をいっそうひどくすることは、火を見るより明らかではありませんか。

 政府は、いじめ問題一つとっても、それをどう克服するかについて何の見識も方策もしめせていません。首相直属の「教育再生会議」は、「緊急提言」なるものを出しましたが、子どもと教師を「懲戒」するという中身で、これでは教育現場はますます追い詰められてしまうでしょう。現に国民が心を痛めている問題への見識も方策もなく、事態を悪化させる基本法改悪をすすめるなど、絶対に許せるものではありません。(拍手)

国民運動を最後の最後まで広げ、廃案に追い込もう

 国会会期末まで残り一週間。実質的に審議ができるのはわずか五日しか残されておりません。その根拠がことごとく崩れた教育基本法改悪法案は、廃案にするしかありません。(拍手)

 私ごとを一つ述べることをお許しください。私は、父を昨年病気で亡くしました。メーデーの前日の四月三十日でありますが、たいへんつらい出来事でした。私の父は、戦後二十六年半、現場の小学校の教師を勤めておりました。その父が亡くなる数年前に私の家を訪れて、「ちょっと教育基本法のことを話したいんだ」、こう言って三日間ほど私に“講義”をしてくれたことがあります。教育基本法のこと、教育とは何かについて、いろいろと父から思いを聞きました。「教育基本法改悪がいつか出てくるかもしれないから、息子に伝えておかなければ」という思いで託してくれたのだと思います。

 教育基本法への熱い思いを抱いている教育関係者の方々、これを支えに戦後がんばってきた方々が、全国にたくさんいらっしゃると思います。そういう先輩のみなさんの思い、若いみなさんの思い、すべての国民の良心を一つに合流して、何としてもこの悪法を廃案に追い込みたい。(拍手)

 いま全国津々浦々で国民運動が大きく広がりつつあります。国民運動との共同で、廃案のために最後の最後までたたかう決意を表明し、連帯のあいさつとします。(拍手)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp