2006年12月7日(木)「しんぶん赤旗」
核廃棄場の断念表明
滋賀・余呉町長 住民過半数署名受け
原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場の公募に応じたいとしていた滋賀県余呉町の畑野佐久郎町長は六日、「文献調査に応募しない」と、断念を表明しました。住民過半数の署名を集め、応募断念を求めていた住民団体「余呉の明日を考える会」(中山克己代表世話人)は「余呉町住民だけでなく、琵琶湖淀川水系全体のみなさんにも喜んでいただける」と喜びを話しました。
畑野町長は、同日開かれた議員全員協議会の後「十三回開いた住民説明会でも処分場の必要性や安全性に理解を示す声は小さかった。短期間で結論を出せるような問題ではない」と述べました。
余呉の明日を考える会の中山代表らは「施設が余呉町にこなくてよかった。許さなかったのは住民の良識です。引き続き、町づくり、国の原子力政策のあり方も考えていきたい」と述べました。
同会は断念を求める住民過半数署名を実質三週間で集め、十二月町議会に提出。さらに町外、県外からも署名が寄せられ、全体で九千人を超えました。
高レベル放射性廃棄物を地下に埋設する処分場は、政府と原子力発電環境整備機構が全国の自治体に公募しているもので、畑野町長は電源立地地域対策交付金が得られるとして、昨年も応募の意向を示しましたが、住民や県の反対で断念。今年八月にふたたび「応募して町の財政難を解決したい」と表明していました。
日本共産党は、放射性廃棄物の処分技術は確立されておらず、町の財政難の解決は国に要求すべきだと町長に申し入れ。公開討論会で吉井英勝衆院議員が詳細に問題点を示してきました。