2006年12月7日(木)「しんぶん赤旗」
2%の大富豪
世界の富 半分以上保有
総人口の半分 貧困層の保有は1%
国連大学研究所発表
国連大学世界経済開発研究所(UN―WIDER、ヘルシンキ)は五日、世界の家計資産の半分以上が、最も裕福な2%の成人人口により保有されているとする研究報告を発表しました。
それによると、二〇〇〇年の世界の家計資産の総額は約百二十五兆ドル(約一京四千三百七十五兆円)で、世界の国内総生産(GDP)合計値の約三倍にあたります。生活費の格差を調整して産出した購買力平価ドルの世界平均は一人当たり二万六千ドルですが、国により大きな格差があります。日本が一人当たり十八万一千ドル、米国が十四万四千ドルなのに対し、インドネシアは千四百ドル、インドは千ドルで日米の1%にも満ちません。
また、報告は、最も裕福な1%の人々が世界の資産の40%を保有しているとし、その一方で総人口の半分の貧しい層の人々が所有する資産を合わせても、世界の家計資産の1%にしかすぎないとしています。
この研究は世界のすべての国、および個人資産のすべての主要構成要素(金融資産や負債、土地、建物、その他の有形財産を含む)を調査対象としたもので、これまで行われた個人資産に関する研究のうち最も包括的なものだといいます。
このほか、報告は、世界の成人人口の6%にすぎない北米が、世界の家計資産の34%を保有しており、次いで欧州が世界の家計資産の30%、アジア太平洋地域の高所得国が24%を占めています。
また、世界で最も裕福な10%の人々のうち、四分の一は米国人、五分の一は日本人、十二分の一がドイツ人。世界で最も裕福な10%の人々の半数以上がこの三カ国に住んでいることになります。
また、報告は、日本と米国では富の分布パターンが異なることも明らかにしています。0から1までの数値で富の不平等性を測るジニ係数(0だと全員が平等)によると、日本は0・55、米国は0・80となります。
研究では、国際的な資産の構成要素の違いが浮き彫りになりました。発展途上国では不動産(特に土地や農業資産)が重要視される一方、豊かなアジア諸国では貯蓄が大きな特徴となっています。それに比べて、欧米諸国では株式やその他の証券類が目立っています。
また、貧困諸国では、住宅ローンを利用したり、その他の大きな買い物をしたりすることができないため、家庭の負債は相対的に少なく、高所得国でも純資産がマイナス(負債)で、世界の最貧困層にランクされている人が数多くいるという実態も明らかにしています。(夏目雅至)
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