2006年12月7日(木)「しんぶん赤旗」
公明区議 全員辞職 東京・目黒
政調費 使い放題
自家用車の車検・団体バスツアー・土産・ガム…
自家用車のカーナビ代、洗車代から観光バスでの団体旅行、かっぽう料理代、酒代まで税金から流用―東京・目黒区で、公明党区議団の政務調査費の不正使用が問題になっています。公明党は不正使用を認め、区議六人全員が辞職という全国でも異例の事態になりました。区民からは「説明し謝罪して」「過去にさかのぼって返せ」の声が相次いでいます。(岡部 裕三)
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目黒区の公明党区議団と前議長(自民=十一月三十日に議長辞任)の政調費のむだ遣いが問題になったのは、市民団体が十月に監査請求をしたのが発端です。新聞、テレビが報道し、区役所には五日までに四百二十一件の批判が殺到。職員は対応に追われています。
公明区議の辞職届を了承した十一月三十日の区議会本会議。傍聴席には定員の二倍を超える百二十六人が入場し、立ち見もでたほど。入れなかった人は、ロビーの庁内テレビに見入りました。
公明区議の辞職後も「きちんと区民に説明して」の声が相次いでいます。
02・03年度分返還額はゼロ
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公明党区議団は十一月二十四日、不正支出を認め、二〇〇五年度に支出した政調費の一部、約七百七十三万円を区に返還しました。
〇二、〇三年度分も不正支出が判明していますが、返還額はゼロです。
領収書をみると、公選法違反の疑いもでるなど、驚くことばかり―。
調査研究費の名目で、区議の自家用車の車検整備費や事故の修理代を支出しています。〇五年度は約十三万円、〇二年度も約十二万円に上ります。
洗車、ワックス、車内クリーニング、バッテリー交換、灯油代も税金から支出。カーナビ代は事務用品の名目でした。
沖縄県那覇市のタクシー会社の領収書(昨年九月九日)には、「上目黒3丁目↓北新宿」と都内区間を記入するというお粗末さです。
「会議費」のほとんどは飲食費でした。公明区議団の〇五年度の会議費は約百四十六万円で、このうち98・5%は飲食費。〇三年度も百二十六万円のうち、97・7%が飲食費でした。
昨年は横浜中華街の有名料理店で約四万五千円、山梨県の郷土料理店で三万円余、焼肉、イタリア料理、ホテルのレストラン、すし、天ぷら・活魚・ふぐ料理店からラーメン代まで請求しています。
昨年の都議選(七月三日投票)期間中は毎日、飲食費を支出しました。
〇三年総選挙期間中の十月三十日には弁当を十一件・計九万八千円、茶菓子を五件約七千円を購入。議員六人でこんなに食べられるのか―。支持者や運動員に提供した疑惑も浮上しています。
〇二年度もホテルのレストランでランチとデザートのケーキを税金から。ガム代まで請求しました。
「研修費」の名目で、支持者を招待したとみられる団体バスツアーの経費を支出しています。
女性前議員は昨年十一月の山梨県バス旅行で、美術館などの入場料五十人分・約三万円、昼食代約七万五千円、バス代を請求。同十二月は、神奈川県の土産店を“はしご”しており、ようかん店で三千円、最中店で二千六百八十円、仕上げは海産物店の五千七百七十五円、食事代約一万三千円も請求しています。
〇二年度は、長崎空港と岡山空港との売店でカステラなど計約三万円を支出しました。
大学校友会、自衛隊協力会、消防団分団の会費の領収書もあります。
区民“説明して”
公明党を含む「オール与党」区政は、低所得者の電話代補助(月二千円)を廃止、障害者のタクシー代補助削減、学童保育利用者の負担増など区民のための施策を後退させてきました。その一方での税金の不正支出に区民の怒りと批判が広がるのも当然です。
日本共産党目黒区議団は、区政のむだ遣いをなくし、区民施策に回すよう主張。政調費の使い方を正し、議員への弁当支給の中止、海外視察の中止を提案してきました。議会運営委員会に領収書義務付けを提案し、二〇〇一年度から実現しています。
野沢まり子党区議団幹事長は十一月三十日の本会議で「返金し、議員辞職すれば済むというものではない」と述べ、公明党が区民に説明する責任があると強調しました。
日本共産党区議団には、「テレビを見て、共産党のいっていたことがわかったわ」(自民党支持の町会婦人部役員)、「しっかりしている党は、おたくだけだ」(街頭宣伝中、通りかかった区民から)などの声が寄せられています。
政務調査費 地方自治法に基づき、地方自治体が議員や会派に支給する調査研究のための経費。目黒区は議員1人あたり月17万円、年204万円を限度に政務調査費を支給しています。