2006年12月7日(木)「しんぶん赤旗」
国民の声きき 議論もっと
地方公聴会公述人次つぎ
教育基本法改悪に懸念
国会の会期末が十五日に迫るなかで、政府・与党は教育基本法改悪法案を会期を延長しても成立させようとしています。しかし六日、同特別委員会の地方公聴会では「さらに時間をかけて十分審議してほしい」の声が出るなど、慎重審議を求める世論が多数です。国民大運動実行委員会などが国会に提出した教育基本法改悪反対署名は、同日だけで十四万人分を超えました。国会前では終日反対行動が絶えず、昼休みは同実行委員会の中央行動で八百人が国会前でシュプレヒコールを唱和。夕刻にはヒューマンチェーン(人間の鎖)第三波のキャンドルがずらりと並びました。
参院教育基本法特別委員会は六日、甲府、静岡両市で地方公聴会を行い、それぞれ四人の公述人が意見を述べました。
甲府会場では黒沢惟昭・山梨学院大教授が「学生や普通の人はまだ無関心だ。さらに時間を与えて十分審議してほしい」と発言。喜多明人・早稲田大教授も「プロセスが十分でなく、本当に国民の支持を得られる改正になっていない」と述べ、もっと国民の意見を聞き、審議に時間をかけるよう求めました。
喜多氏はいじめ自殺の背景に子どもたちの自己肯定感の低下があると指摘。何事もおとなだけで決めてきたことも原因だとして、「(基本法改定を)子どもぬきで決めていいのか。子どもの意見をあらゆる方法を使って聞いてほしい」と訴えました。
静岡会場で粕谷たか子・静岡県高教組委員長は「教育現場が求めているのは教基法をいかすこと、とくに第一〇条のもとめる教育条件整備です」とのべ、教職員を増やして少人数学級にするよう求めました。また政府が押しつける学校評価制度などで教職員が忙殺され、健康を害している実態を告発しました。
嶺井正也・専修大教授は「慎重かつ徹底審議を求めたい。教育学研究者は非常に心配して審議を見守っている」と発言。「改正案は子どもの権利に及んでいない」として、国連子どもの権利委員会の二度の勧告に反すると指摘しました。
日本共産党の井上哲士議員は、国家介入の歯止めをなくす現行法一〇条改悪の問題を質問。嶺井氏は「教育は自律的な営みであるべきだという精神が変わってしまう」と述べました。