2006年12月6日(水)「しんぶん赤旗」
英 核兵器システム更新へ
白書発表 新しい原潜開発も
【ロンドン=岡崎衆史】英政府は四日、次期核戦力開発方針に関する白書を発表し、トライデント型潜水艦発射弾道核ミサイルからなる現有の核兵器システムの更新の意向を表明しました。ただし、核ミサイルを搭載する原子力潜水艦の数を現有の四隻から三隻に減らすほか、核弾頭数も現在の約二百から二割削減し、百六十未満にするといいます。
今後、国会で論議を行い、来年三月の議決を経て最終決定となります。
政府は現存のバンガード級原潜に代わる新しい原潜の開発を目指すほか、米国製トライデント・ミサイルの寿命延長に向けた米国の研究開発プログラムに加わります。同ミサイルは、これにより、二〇四〇年代まで作戦使用が可能になるといいます。
白書は、更新の理由として、(1)世界における相当数の核兵器の存在と近代化推進の動き(2)核保有国数の増加(3)国家による核テロ支援の可能性―などを挙げ、「こうした脅威を防止できるのは核兵器の保有のみによる」と主張しました。
白書発表に当たって下院で演説したブレア英首相は、北朝鮮による核保有宣言と、イランによる核不拡散義務の違反などを指摘し、「英国が一国だけで、独自の核抑止力を放棄するのは賢明でないし、危険である」と正当化しました。
英国は現在、トライデント型核ミサイル五十基とバンガード級原子力潜水艦四隻、核弾頭約二百発からなる核戦力を保有しています。このうち、原潜の退役が二〇二二年から始まるため、次世代核兵器開発をめぐる論議が盛んになっていました。
政府は更新にかかる費用として、百五十億ポンド(約三兆四千億円)―二百億ポンド(四兆五千億円)程度とみています。
政府の白書について、有力平和団体、核軍縮運動(CND)のハドソン議長は声明で、「核兵器を拡散させ、新たな核軍拡競争を引き起こし、最終的には核兵器の使用に導くことになる」と批判しました。