2006年12月6日(水)「しんぶん赤旗」
JR採用差別
国労・組合員ら提訴
「政治解決を促す」
国鉄の分割・民営化のさい、国鉄労働組合(国労)などに所属する千四十七人の労働者がJR各社に不採用とされた事件で、国労と組合員・遺族五百四十人が五日、国鉄などを継承した鉄道建設・運輸施設整備支援機構(旧鉄建公団)を相手取り、約三百七億円にのぼる損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。
一九八七年のJR発足のさい、分割民営化に反対した国労、全動労などの組合員が、「一人も路頭に迷わせない」「組合差別はしない」との政府答弁や国会決議に反して不採用とされました。
訴状は、組合所属を理由にした採用差別は不当労働行為(団結権侵害)であり民法の不法行為にあたるとして、組合員の賃金をはじめ、多数派から少数派に弱体化されて国労が失った組合費などの賠償を求めています。
この事件では、地方労働委員会や中央労働委員会が救済命令を出しましたが〇三年、JRに法的責任なしとする最高裁判決が確定。政府が政治解決に背を向けているもとで、十二月下旬に損害賠償権が時効となるため、支援機構を相手に訴訟を起こしたものです。
支援機構を訴えた裁判では、東京地裁が昨年九月、不当労働行為を認めて損害賠償を命令。全動労(現建交労)の五十八人も提訴しており、政治解決に背を向ける政府の姿勢がさらに厳しく問われることになります。
記者会見した佐藤勝雄委員長は「基本方針は早期の政治解決であり、提訴がそれを促すよう期待する」と強調。「人道上もこれ以上放置することは許されない。ILO(国際労働機関)も一歩踏み込んだ勧告を出した。一日も早い政治解決の実現をめざし全力で奮闘する」とのべました。