2006年12月5日(火)「しんぶん赤旗」
同和事業の約5億円
手続きミス回収不能
和歌山県
和歌山県が同和対策で実施した中小企業向け融資のうち約四億九千万円が県の手続きミスにより回収不能になっていることが分かり、前知事逮捕の談合事件の最中の相次ぐ不祥事に県民の怒りが広がっています。
ミスによる回収不能が発覚したのは、皮革製造の協業組合大幸に融資した未回収分です。本紙が情報公開条例で県から入手した資料によると大幸は一九七八年と七九年に計約六億八千万円の同融資を受けながら一円も返すことなく八四年に休業。八八年に土地・建物などの強制執行による競売で県は約一億九千万円の配当を得ましたが、その後、四人の連帯保証人に催告状を送るなどするも入金はありませんでした。
同和対策の中小企業向け融資の滞納回収にあたる県償還指導室は「当時の担当者は定期的に催告状を送っていたので債権の時効は成立しないと思っていたようだ。実際は返還請求訴訟などしないと時効は中断しない。手続きミスといわれてもしかたない」と認めました。
この融資は国が約三分の二を負担していますが、県のミスによる回収不能と判断された場合、国融資分も県に請求される可能性があります。