2006年12月5日(火)「しんぶん赤旗」
租税理論学会が声明
消費税増税なしで福祉国家はできる
租税に関する研究者で構成する日本租税理論学会(理事長・北野弘久日本大学名誉教授、会員数約三百人)は三日、消費税増税なしで「日本の福祉国家を健全に展開することができる」とした声明を発表しました。静岡市内で開かれた同学会の第十八回大会での議論を反映したものです。
声明は、財政「破たん」の主な要因が、消費税導入後に行われた「憲法の『応能負担原則』の趣旨に逆行する大企業・高額所得者に対する税法上の減税である」と分析。この財政「破たん」を埋めるために、政府によって「消費税の大幅引き上げなどが議論されている」と告発しました。
さらに、低所得者ほど負担が重く、さらに中小業者の経営を圧迫するなどの特徴を持つ消費税が、大幅に引き上げられることによって「租税面から日本の格差社会を拡大する」とのべました。
その上で声明は、消費税増税によらないで「財政健全化を考えるべきである」と強調。企業や大金持ちにたいする税制上の優遇措置の徹底的見直しや所得税・相続税の累進機能の回復などを求めました。
北野理事長は記者会見で、「異常なほどの大企業と高額所得者への減税を正せば、消費税増税によらないで、社会保障や暮らしのための施策を充実させることができる」と語りました。