2006年12月5日(火)「しんぶん赤旗」
米ウォルマート インド進出
外資小売業は原則禁止
インド共産党 “抜け道探す試み”
【ニューデリー=豊田栄光】米国の小売りチェーン大手ウォルマートがインドに進出、来年八月の一号店開店をめざしています。十一月二十七日、インドのバーティ社(インド携帯電話最大手エアテル持ち株会社)との合弁会社の設立を発表しました。両社の株式比率は50%対50%です。
インドでは小売業への外資規制は厳しく、原則禁止です。単一ブランド商品を販売する外国企業については、出資比率51%までの会社設立を認めています。
規制を緩和方針
ウォルマートのように多品目の商品を扱う外資が、インド企業と合弁会社を設立し、小売業に進出できるかどうかについては、政府見解はまだ固まっていません。
ナート商工相は合弁会社設立が発表された翌日ただちに反応、「承認制限が順守されているか詳細に検討する」と語りました。シン政権は小売業への外資規制を緩和する方針を持っており、商工相発言は閣外支持の左翼政党への配慮とみられています。
小店の廃業生む
インド共産党(マルクス主義=CPIM)は、「抜け道を探す試み」と批判。インド労働組合センター(CITU)は「裏口からの侵入」と非難し、十四日のゼネストへの地元小売業者の参加を呼びかけました。
インドの小売市場の規模は年間売上高が三千億ドルで、向こう九年間で倍の六千億ドルを超えると予想されています。過去三年間における経済成長率は年平均8%を記録し、購買力のある中間所得層が増え、個人消費を押し上げています。
リライアンスやタタといったインドの財閥はコンビニ、スーパーマーケット、デパートの小売りチェーンを構築する計画を発表しています。向こう五年間で国内外の企業が二百億ドル以上の資金を投資するとみられています。「小売りの大規模店が悪だとするのはイデオロギー的で、消費者にとっては不公正だ」(地元英字紙ヒンドゥスタン・タイムズ一日付社説)との主張も出ています。
インドの小売業の96%は家族経営の小規模なもので、四千万人の雇用を生み出し、国内総生産の約10%を占めます。CPIMは大手小売りチェーンの進出は小規模小売店の廃業、従業員の大量失業を生み、インド経済全体にも悪影響を与えると、警鐘を鳴らしています。
西ベンガル州のバタチャリア州首相(CPIM政治局員)は、「インドでとれた野菜を、なぜ外国企業がインド人に売らなければならないのか」と語っています。