2006年12月5日(火)「しんぶん赤旗」

安倍内閣70日

記者座談会

支持率急降下

来年の選挙へ取り組み本番並み


 安倍晋三内閣発足から五日で七十日。内閣支持率がはやくも急降下し始めました。師走の永田町の動きを追って、担当記者で話し合いました。


  自民党は四日夜も石原伸晃幹事長代理ら衆院議員四人の政治資金集めパーティーが開かれた。永田町は十一月から十二月中旬まで衆参国会議員のパーティーラッシュだ。

  連夜、同時刻に東京都内三、四カ所で開かれている。十一月三十日夜などは自民党、民主党、さらに公明党政調会長と七つも重なった。

財布ゆるむ大企業

  例年、この時期に資金集めパーティーは多いが、今年は際立っている。理由は二つ。来年に参院選、いっせい地方選を控えていることから活動資金を用意する必要があるため。それに去年の総選挙で使った選挙資金の手当てという事情がある。

  もう一つある。「いざなぎ越え景気」で業績をあげている大企業が政界への財布のヒモをゆるめている。自民党衆院議員は「大手企業はひところよりパーティー券を気軽に買ってくれる」といっていた。

  日本経団連はこの臨時国会で外資系企業の政治献金解禁のための政治資金規正法改悪に向けて自民党、民主党を走らせている。

  見返りに法人税(企業関係税)減税をたっぷりもらうというわけだ。大企業の大盤ぶるまいにも裏がある。

  中小零細企業は別だ。東京選挙区選出で来年改選の自民党参院議員のパーティーで、参加者二千五百人を前にトラック業界幹部の後援会長が訴えていた。「政府は景気がよくなっているというが、庶民にその実感はない。庶民も景気がいいと実感できる政治をしてほしい」と。ここでも格差が歴然と出ている。

新政権への失望感

  安倍内閣の支持率が十一月下旬のマスコミ調査から軒なみ落ちている。「支持する」が増えた調査は一つもない。政治マスコミの間で「安倍首相と蜜月関係」と評される産経・FNN調査(二日付)も「支持」が内閣発足時の前回に比べ16・2ポイント下落の47・7%と50%を割りこんだ。

  支持率急落には「復党」問題が響いているというが要因はそればかりではない。小泉政権から代わっても止まらない格差の拡大、各種負担の増大で閉塞(へいそく)感が広がっている。「共同」調査の不支持理由の第一位は経済政策だ。

  首相就任前の言動と一貫性に欠ける政治姿勢への不信感。一言でいえば新政権への失望も不支持の根にある。

  麻生太郎外相や中川昭一自民党政調会長の一連の核武装論議発言に対し「議論はいい」とする安倍首相の対応も一因だ。国民が痛苦の歴史から胸に刻んだ「非核平和」意識を逆なでした。

  自民党の中川秀直幹事長は十一月十五日の内外ニュース懇談会で「総理は二期目に必ず憲法改正をめざす。政界再編をしてでも憲法改正を実現する決意だ」と改憲スケジュールを明確にいい切った。国民世論が安倍政権への警戒心を強めるのは当然の成り行きだ。

  超タカ派で政治キャリアの浅い安倍氏が、九月の総裁選で圧勝できたのはひとえに、その「人気」だった。来年の参院選で「(票を集められる)党の顔になる」という要素が働いたためといわれる。予想外に急テンポの世論の“安倍離れ”に自民党内でも戸惑いが広がっている。

  深谷隆司元通産相は十一月二十九日の東京都内での会合で「来年の選挙のことを考えると心配でならない。安倍総理も立派ではあるが、来年どんな状況になるのかは予断を許さない」と引き締めていた。

  参院議員のパーティで陣営の選対幹部が「たったいまから一人で百人の支持する仲間を増やしてください」と絶叫していた。来年の選挙に向けた取り組みはすでに選挙本番並みだ。


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