2006年12月3日(日)「しんぶん赤旗」
ベネズエラ きょう大統領選
現職チャベス氏が優位
国民生活向上を背景に
|
【カラカス=菅原啓】米国の干渉を拒否し、新自由主義に代わる自主的な経済発展をめざす改革が注目されている南米ベネズエラの大統領選挙の投票が三日に行われます。選挙には、十五人が立候補しているものの、識字運動や就学支援、無料の地域医療制度、低利の融資制度など多様な社会開発プログラムを推進してきたチャベス現大統領と、米国からの直接、間接の支援を受けて、チャベス政権の打倒を掲げる主要野党勢力が推すロサレス元スリア州知事の事実上の一騎打ちとなっています。
首都カラカス市内では、両候補のポスターが張り巡らされていますが、街頭での選挙運動は一日朝をもって終了。市内各所には、投票に必要な身分証明カードの臨時発行所が設けられ、市民が長い列を作っています。
世論調査によれば、チャベス大統領が約六割の支持を確保。同国では、チャベス政権を敵視する親米野党勢力によるクーデターや石油ストが経済に大打撃を与えましたが、その後、経済は回復し、最近三年間では平均13%の成長を記録しました。失業や貧困も低下傾向にあり、社会開発プログラムによって、経済成長と国民生活向上をともに実現してきた現職のチャベス氏が優位に立っています。
ロサレス候補は、世界の途上国に安価で原油を供給し、国民生活を犠牲にしているとチャベス政権を批判し、「カストロ(キューバ型)共産主義」といった非難を繰り返しています。
チャベス大統領は十一月三十日の記者会見で、ロサレス候補を暗殺し、それを大統領の差し金と宣伝しようとした謀略を未然に阻止したことを明らかにしました。テロや投票所の襲撃などが引き起こされる恐れも指摘されています。
与党陣営の中からは、不測の事態を回避するために巡回団を組織して、地域を見回る動きも生まれるなど、カラカス市内は投票日を目前にして緊張が高まっています。巡回団に毎晩参加している女性は、「革命の成果によって私たちの子どもも教育を受けられるようになった。なんとしても大統領に勝利してほしい」と語っていました。