2006年12月3日(日)「しんぶん赤旗」
北朝鮮核問題協議
報道に見る米朝の主張
北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の再開に向け、北京で十一月二十八、二十九の両日行われた米中朝三カ国の首席代表会談。米朝二国間協議も行われ、米側は北朝鮮の核放棄に向けた措置を具体的に提案したといいます。報道で出されている米朝双方の主張と対立点をまとめてみました。(中村圭吾)
米国の提案
米国務省のケーシー副報道官は三十日、「われわれは事態を進展させるため、いくつかのアイデアを北朝鮮に提案した」と表明しました。米側は具体的な提案内容を明らかにしていませんが、各種の報道によると、北朝鮮にもとめた核放棄明確化の内容は、▽プルトニウム生産に使われている寧辺の黒鉛減速炉と関連核施設の稼動停止▽国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れ▽豊渓里にある核実験場の閉鎖▽すべての核施設・計画の申告―などとされます。
平和協定
一方、北朝鮮の核放棄に見合う措置としては、▽朝鮮戦争の終結を公式に宣言し、停戦協定を平和協定に転換▽エネルギー支援、経済協力、文化・教育分野での連携を進める―ことが含まれると、ホワイトハウス報道官が明らかにしています。
停戦協定の平和協定への転換は、米国に「敵対政策」の放棄を求める北朝鮮が長年主張してきたもの。昨年九月の六カ国協議共同声明では、「米朝の国交正常化」「朝鮮半島での平和体制確立にむけた協議」などが盛り込まれました。戦争終結宣言はその最初の一歩となるものです。
韓国の報道によると、米朝協議で米側首席代表のヒル国務次官補が、北朝鮮がとるべき措置と、それに応じて関係国がとる措置を詳しく説明。韓国側首席代表の千英宇外交通商省朝鮮半島平和交渉本部長も三十日、北朝鮮側首席代表の金桂冠次官との会談で、「米国の対北政策が大きく変わったので北朝鮮は今度多くのものを得る良い機会だ」と説得したといいます。
ヒル次官補によると、北朝鮮の金次官は持ち帰って検討すると回答。ヒル次官補は「ボールは北朝鮮側にある」と述べました。
6カ国協議
韓国の宋旻淳外相は一日、「米側が六カ国協議を通じて、核問題だけでなく、昨年九月の六カ国協議共同声明の履行に合意をしようという意思表示を具体的に行っている」と指摘。「米国が積極的なので、北朝鮮もそれなりに深い分析をして立場を整理しなければならない」と述べました。
六カ国協議の再開日程をめぐっては、年内開催も可能という見方と困難だという見方が混在しています。ただ、米朝間で調整がついていない問題が残っているのも事実。
米側は、北朝鮮が解除を求めるマカオの銀行の口座凍結については、六カ国協議の枠内で作業部会を設け議論するという立場です。一方の北朝鮮は、口座凍結の即時解除を要求。重油などのエネルギー支援の先行実施を確約すれば核廃棄に応じるとの立場を崩していません。
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