2006年12月2日(土)「しんぶん赤旗」
ドーハの風
アラブの息吹 感じた
進むイスラム諸国の参加
アラブの息吹を感じる場面を目にすることができました。
開会式に先立つ30日、女子サッカーで日本と対戦したヨルダンの選手たちです。
頭はヘジャブと呼ばれる白い布を巻き、足も白いウエアで隠してボールを追いかける。寒いからではありません。イスラムの戒律で女性が頭髪や手以外の肌をさらしてはいけないためです。
女性たちがスポーツに親しみにくい状況にもかかわらず、それと立ち向かい、参加を勝ち得た選手たち。その目は、大敗にも、輝きを失うことはありませんでした。
アラブ諸国で初めて開催される今大会。イスラム諸国からの参加が増えました。カタールでも、すでに女性スポーツ委員会ができ、今回は水泳に初めて女子が出場する変化も生まれています。
アジア大会はこれまでも、スポーツの発展を切り開いてきました。
1951年の第1回大会(インド・ニューデリー)は11カ国・地域から約500人が参加。今回はアジア・オリンピック評議会(OCA)に加盟する45カ国・地域のすべての参加が見込まれています。それが実現すれば、新たな前進の一歩が刻まれることになります。
アジア大会には鬼ごっこに似たカバディ、「足のバレーボール」といわれるセパタクローなど、五輪にもない、この地域ならではの特色ある競技があります。ここでもどんな交流が広がるのか、楽しみです。
OCA憲章の根本原則にはこうあります。
「スポーツの公正な競争を通じ、アジアの若者の道徳的、身体的な資質の発達を助け、国際的な関心、友情および親善の促進に寄与する」
カタールは、日本の秋田県ほどの面積で、人口も約80万人の国です。この小国から生まれる、新たなきずなが、アジアの明日をつくる大きな力になることを願ってやみません。(青山俊明)