2006年12月1日(金)「しんぶん赤旗」

「絶望の日々」中国被害者

遺棄毒ガス第2次訴訟が結審


 旧日本軍がアジア太平洋戦争の敗戦前後、中国に遺棄した毒ガスと砲弾で被害を受けた中国人五人が日本政府を相手に提訴した第二次訴訟の口頭弁論が三十日、東京高裁(大喜多啓光裁判長)で開かれました。二十二日に行われた第一次訴訟同様、原告側弁護団が新たに提出した被害等の裏付け証拠に対し、国側代理人が反論の機会を主張。裁判所は反論を認めず同日、結審しました。

 意見陳述した原告の一人、張岩さん(57)は一九七六年、黒竜江省で鉄くず処理中に砲弾のなかから噴出した毒ガスを浴びました。事故後、ぜんそくがひどく、入退院の費用を親せきや知人から借金するしかありません。

 皮膚に水ぶくれができてただれ、もっともひどい傷口は骨が見えるほどでした。「被害に遭ってから私の心は常に焦燥と恐怖にかられ、絶望に打ちひしがれ、いい表せない精神的苦痛が続いている」と語りました。また、身体的、経済的被害と家族への被害があるとし、「日本政府は勇気を持って責任を認め、中国人の心を傷つけないことを願う」と訴えました。

 原告側弁護団の藤澤整弁護士は毒ガスのイペリットによる遅発性・進行性および継続的被害について最終弁論し、「裁判所は、戦後幸せだった被害者の生活が破壊された事実と、被害の責任を取るべき者が日本政府以外にいるのか、ということをよく考えていただきたい」と訴えました。


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