2006年11月30日(木)「しんぶん赤旗」
CIA秘密活動
欧州12カ国が関与
調査に非協力 欧州議会委が非難
【パリ=浅田信幸】米中央情報局(CIA)が欧州でテロ容疑者を不法に拉致し秘密収容所に移送していた疑惑について、欧州連合(EU)の欧州議会調査委員会は二十八日、最終報告案をまとめ議会に提出しました。
ブリュッセルからの報道によると、報告者のクラウディオ・ファバ議員(伊左翼民主党)はその中で、「多くの(欧州)政府が受け身的にせよ積極的にせよ(CIAの活動に)協力してきた」と断定するとともに、「ほぼ全部の国」が調査に非協力的だったと非難しました。
報告書は、テロ容疑者の移送は二十例に達し、二〇〇一年九月十一日の米同時多発テロ以後のCIA機による欧州各国の基地利用回数は千二百四十五回にのぼることを突き止めたとしています。
またCIAの秘密活動に関与したEUの国は、イタリア、イギリス、ドイツ、スウェーデン、オーストリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、キプロス、デンマーク、ポーランドの十二カ国にのぼるとしています。
今年九月にブッシュ米大統領は秘密収容所が米国外に置かれたことを認めましたが、場所は不明のままになっています。調査委員会も確実な証拠、証言を得ることはできず、「ルーマニアの基地で秘密作戦を進めた可能性は排除されない」「ポーランド北東部のシマニ基地に置かれた可能性がある」と述べているだけです。
調査委員会は今年一月に設置され、四月に中間報告をまとめていますが、決定的な新しい事実はほとんど出ず、多くは「濃厚な疑い」にとどまっています。今後の対応についてファバ議員は「欧州理事会と欧州委員会が責任を負うべきだ」と指摘しました。