2006年11月30日(木)「しんぶん赤旗」
残業づけ 土日も出勤の教員
教育基本法改悪 多忙に拍車
小林議員指摘
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「一カ月以上、土日もなく出勤している」「子どもの話をじっくり聞いてあげられる時間もとれない」(大阪府の青年教員)。日本共産党の小林みえこ議員は二十九日の参院教育基本法特別委員会で、小中学校の教員が月六十六時間以上の残業に追われている実態(文部科学省調査)を示し、「子どもと向き合う時間もない異常事態だ」と述べ、教育基本法改悪法案と政府の「教育改革」はこの事態に拍車をかけると指摘しました。
伊吹文明文科相は「教員の個人差があり一概に長いとは言えない」と答える一方、教育予算の問題にもふれて「少しでもそういう方向(多忙化解消)に向かっていくよう努力したい」と努力の必要は認めました。
いじめ自殺とされているある中学三年生は、いじめを学校に相談したにもかかわらず、対応が遅れ、相談した六日後に命を絶ちました。この背景に、教育委員会の学校訪問や、担任や学年主任の出張など教師の忙しい日常があったといいます。
小林氏は、文科省が進めてきた「教育改革」で、教員が「意欲・関心・態度」の形式的評価のために時間をとられていると指摘。文科省の銭谷真美初等中等教育局長は「評価のための評価とならないように工夫が必要だと思っている」と答弁しました。
改悪法案は第一七条で「教育振興基本計画」を定めるとしていますが、中央教育審議会の計画案には、教員の多忙化・過重労働解消の項目はありません。小林氏は「改悪法案は上から『改革』を押し付け、教員をさらにがんじがらめにするもの。これでは先生も子どもも救われない」と批判しました。