2006年11月28日(火)「しんぶん赤旗」

エクアドル大統領選 改革望む国民

左派勝利

中南米の変革鮮明に


 【サンティアゴ=松島良尚】二十六日のエクアドル大統領選決選投票は、接戦との予想を覆して、新自由主義反対や資源主権の回復を訴える左派のコレア元経済相の圧勝がほぼ確定的になりました。貧困層が国民の六割以上を占めるなか、経済政策と社会の仕組みの抜本的変革を望む有権者の期待を反映したもので、自主的で国民本位の国づくりをめざす政権が相次いで誕生している中南米の変革のうねりがいっそう鮮明になりました。


 エクアドルでは、この十年間に三人の大統領が生活悪化などに対する国民的抗議によって退陣、罷免に追い込まれるという不安定な政治が続いていました。

 二〇〇二年の前回選挙でも国民の期待を受けて左派のグティエレス大統領が選出されました。しかし同政権は国際通貨基金(IMF)が押しつけた緊縮政策を受け入れて負担を国民に転嫁したことから、国民的な抗議を受けて連立政権が崩壊し、大統領は罷免されました。

 コレア氏は、同大統領罷免のあと副大統領から昇格したパラシオ政権下で短期間経済相を務めました。その際、対外債務をめぐってIMFや国際金融機関をきびしく批判し、辞任しました。その後も米国から独立した自主的な国つくりや抜本的な社会改革を主張、ベネズエラのチャベス革命への連帯を訴えて変革の旗手となりました。

 対立候補のノボア氏は、外国投資の呼び込みや米国との自由貿易協定の締結などを主張する新自由主義の立場でした。

 これに対してコレア氏は選挙戦で、資源主権を明記した新憲法の制定のほか、石油関連の多国籍企業との契約見直しや投機資本の規制、対外債務の再編、米国との自由貿易協定交渉の再検討を主張しました。

 エクアドル西部のマンタには、麻薬対策の名目で隣国のコロンビアの反政府勢力や中南米全体ににらみをきかす米軍基地があります。これに対して同基地が米国の戦争政策に同国を巻き込むものだとして撤去を求める運動がねばり強く続けられてきました。

 今回コレア氏がこうした声をくみ上げて米軍駐留協定を更新しないと公約したため、米軍基地の存続か撤去かが大きな争点になりました。


 エクアドルの米軍基地 米国は一九九九年十一月、米州相互援助条約(四七年調印)に基づき、エクアドルとの間で米軍基地貸与協定を締結。これによって米国は、港湾都市マンタに二万四千ヘクタールの広大な空軍基地を借り受けています。同協定は二〇〇九年に更新を迎えます。


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