2006年11月27日(月)「しんぶん赤旗」
原子力空母配備問題 意思示そう
住民投票実現へ運動広がる
神奈川・横須賀
日米両政府が、米海軍・横須賀基地(神奈川県横須賀市)に、2008年から原子力空母ジョージ・ワシントンを配備しようと動きを強めるなか、横須賀市では原子力空母の配備の是非を問う住民投票条例の制定めざす直接請求署名運動が繰り広げられています。(洞口昇幸、河野建一)
直接請求運動地域ぐるみで
住民投票条例の制定を求める直接請求運動は、横須賀市では初めて。幅広い人たちでつくる「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」が始めました。署名期間は、十二月十日までの一カ月間で、直接請求に必要な署名数は、約七千二百人分(市内有権者三十六万人の五十分の一)。
“基地のまち・横須賀”ですが、地域ぐるみで住民投票にとりくむところもでき始めています。
岩戸・大矢部地域では、「原子力空母に賛成、反対にかかわらず、誰でも自分の問題として考えよう」と、「原子力空母の母港化を考える岩戸・大矢部のあつまり」が結成されました。呼びかけ人の一人(67)は、「原子力空母が事故を起こせば、思想信条に関係なく、大きな被害を及ぼします。横須賀だけの問題ではありません。私たちのがんばりが新しい日本をつくることになる」と話します。この地域では、受任者が百人を超えています。
北下浦地域では、受任者を引き受けた十一人が住民投票を実現させようとつどいを呼びかけました。三十人が集まり、交流しました。
五人の子どもを持つ親(36)は、「隣の人に声をかけました。自分の考えていることを伝えることができ、相手の考えも分かります。近所のつながりが見えて楽しい」と語りました。
米海軍発表に不安は大きく
原子力空母の配備をめぐり、米海軍は昨年十二月、横須賀を母港とする通常型空母キティホークの後継艦として、二基の原子炉を積む原子力空母を配備すると発表しました。首都圏に住む三千万人の命と暮らしに直結する問題だけに、住民の不安は大きなものでした。
ところが、原子力空母の配備反対の公約をかかげて当選した蒲谷亮一市長は、意見を聞く会を二回開いただけで配備容認を表明しました。その根拠とするところは、「原子炉は安全であり、放射能漏れを起こさない」と主張する米海軍の文書でした。署名運動期間に入ってからは、市長は記者会見で、署名を集めても住民投票は実施しないと、決めるのは市議会であるにもかかわらず、署名運動を真っ向から否定しました。外務省が作製した『米海軍の原子力艦の安全性』というカラーのパンフレット一万五千部を市役所や各行政センターに置きました。
「成功させる会」に参加する「米原子力空母の横須賀配備を阻止する三浦半島連絡会」の新倉泰雄事務局長はいいます。
「市長が何といっても、七千二百人以上の署名が集まれば、市議会へ条例案を提出しなければなりません。市議会に、住民投票の実施を決断させる圧倒的な数をつきつけたい」
支援先・カンパは、「米原子力空母の横須賀配備を阻止する三浦半島連絡会」事務所046(821)5048 郵便振込00270‐7‐132970 口座名「原子力空母阻止・三浦半島連絡会」。