2006年11月26日(日)「しんぶん赤旗」

インドの誘拐事件

昨年被害 2万3133人

目的の1位は「結婚」


 インドで最近、三歳の男の子が誘拐され、無事救出されるという事件がありました。事件は同国北部ウッタルプラデシュ州で十三日朝に発生し、十七日夜に助け出されました。新聞各紙十八日付の多くは一面トップで報じました。

 インドでは誘拐事件が頻発しており、国民も強い関心を持っています。国家犯罪統計局(NCRB)の発表によると、二〇〇五年は全国で二万二千八百三十二件の事件が発生、被害者は二万三千百三十三人にのぼります。人口百万人あたり、二十二人が誘拐事件にあった計算になります。

 日本で誘拐といえば、「身代金目的」と考えますが、インドでは全体の3・6%、第三位です。誘拐目的のダントツのトップは「結婚」で、被害者は九千八百七十五人(43%)に上ります。二位は「不法な性交渉」(二千百十九人、9%)です。

 女性被害者は一万五千六百十四人(67%)。最も被害を受けている女性の年齢層は「十八歳から三十歳」で一万八百十一人、47%を占めます。女性への深刻な人権侵害の実態が浮かび上がってきます。

 デリー首都圏の事件発生は千五百九十件で、被害者は千五百九十五人です。人口百万人あたり百二人というこの数字は全国平均のほぼ五倍、州別では一位です。

 パキスタンと領有権を争いテロ事件が頻発して危険と目されているジャム・カシミール州は二位で、百万人あたり六十九人です。先の三歳児誘拐事件が発生したウッタルプラデシュ州は同二十一人です。

 英字紙タイムズ・オブ・インディア二十三日付は、デリー首都圏住民に次のような警鐘を鳴らしました。「デリーの人たちは、ウッタルプラデシュ州のような不法地帯に自分たちは暮らしていないと考えているが、インドの首都はインドの誘拐の中心地でもある」。(ニューデリー=豊田栄光)


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