2006年11月24日(金)「しんぶん赤旗」
障害者自立支援法の実施後
半数の職場で賃下げ
4割強で実労働時間増
「障害者自立支援法実施後、約半数の施設・事業所で職員の賃金が引き下げられ、実労働時間増による労働強化がすすんでいる」―。全国福祉保育労働組合(福祉保育労、茂木初子委員長)は、「障害者自立支援法実施後の労働条件等に関するアンケート調査」結果を発表しました。障害者自立支援法が、障害者だけでなく、施設・事業所の労働者の労働条件に大きな影響を与えていることが分かりました。
福祉保育労アンケート調査
調査は、今年四月の自立支援法実施後の六―八月に実施したものです。福祉保育労の地方組織のある障害関係の施設・事業所八十一カ所が回答しました。
四月以降、賃金が減った職場は48%、昇給があった職場は28%、変わらない24%でした。賃金減は、一時金にあらわれていました(グラフ参照)。アンケートの自由記述には「一時金がなくなる」「年収が20―25%ダウン」「職員の早期希望退職を募っている」など、深刻な実態が報告されました。
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時間外を含む実労働時間が増えた職場は43%、変わらない56%。増加した労働時間を平均すると一週間あたり八時間となりました。休日出勤が増えた職場は29%、変わらない70%でした。
これまでも時間外サービス労働のまん延、腰痛や心の病などによる健康破壊が問題になってきましたが、「それが助長されるのでは」と心配されています。
障害者自立支援法による報酬単価の引き下げや日払い方式の導入により、多くの障害者施設・事業所は大幅に収入がダウンし、窮地にたたされています。各施設事業者は経営維持のための苦肉の策として、土曜日開所や夏・冬の閉所期間の短縮などをしていますが、その影響が職員の労働時間増にあらわれています。
職員構成を尋ねると、正規職員が減った一方、臨時・パート職員が増えた職場が多くなり、正規職員の非正規職員への置き換えがすすんでいます。
職員削減の理由は、「施設収入が減った」が61%を占め、障害者自立支援法の影響が明白です。
将来の雇用不安
福祉保育労の清水俊朗書記次長の話 障害者自立支援法のもと、賃金の大幅な引き下げや労働条件の悪化は深刻です。現場の労働者は、生活や将来の雇用に大きな不安を抱えています。「生活していけない」と職場を去る労働者も少なくありません。
福祉保育労では、今後も労働者の実態を告発し、社会的な解決を求めながら、当事者や関係者と共同して、障害者自立支援法撤廃と公的責任による障害者福祉施策拡充のための運動をすすめていきます。