2006年11月24日(金)「しんぶん赤旗」
集団的自衛権の解釈変更
自民小委が検討開始
憲法が禁じている集団的自衛権の行使や海外での武力行使を可能にするため、自民党の防衛政策検討小委員会(委員長・石破茂元防衛庁長官)が解釈変更の検討をはじめています。安倍首相の意向に沿うものです。
十五日の同小委員会で石破委員長は、集団的自衛権について「政府の解釈と国際的な定義が違う。集団的自衛権の定義を国際的な標準に合わせる必要がある」と発言。密接な関係にある他国への攻撃を自国への攻撃とみなすべきだとの認識を示しました。
「集団的自衛権の法的検討」と題する小委員会の討議資料では、「憲法第九条第一項が禁じているのは『国際紛争解決の手段としての武力による威嚇または武力の行使』であり、『国際紛争解決の手段ではない武力の行使』は認められる」と解釈すべきだとしています。
国連軍への参加や集団的自衛権行使を認めない政府見解の論拠となっている「自衛権は必要最小限度しか行使できない」との論理を批判。さらに、海外での武力行使について「個別的・集団的自衛権の行使」や「集団安全保障への参加」であれば「違法性が阻却(しりぞけること)され行使可能」との判断がなされるべきだと主張しています。
石破小委員会の検討は、戦争放棄と戦力不保持・交戦権否認を定めた憲法九条のもとで、無理な解釈を積み重ねてきた政府見解の弱点をつくかたちで、さらなる解釈改憲を提起。自衛隊の海外での武力行使に道を開こうとするものです。